なお、国による投資促進策とは、事業者に対するGX先行投資支援「初期投資支援(CAPEX)」や「生産時の支援(OPEX)」だけでなく、「GX市場創造」も含まれる(図4の下段に記載。以降、鉄鋼以外の他の産業分野でも同様である)。
GX市場創造は、「GX価値の見える化」や「インセンティブ設計」、「規制/制度導入」のステップから構成され、鉄鋼分野の例としては、表2の戦略案が示されている。
日本の化学産業は、ナフサ分解によりエチレン等の基礎化学品を製造・供給することにより、自動車や電気電子産業など、川下産業の競争力の源泉となっている一方、ナフサの熱分解や化学反応に化石燃料や電力を使用することにより、多量のCO2を排出している。
このため、化学産業のカーボンニュートラルの実現に向けては、以下の2つを並行して進めることが重要とされる。
なお欧米では、再エネ電力をナフサ分解炉の熱源として用いる電熱化や、触媒等の利用によるCO2削減が検討されている。EUのCBAM(炭素国境調整措置)も見据えると、高機能という日本製品の従来からの強みに加え、低炭素な化学品の供給拡大が不可欠となる。
これらを踏まえ、化学分野では、事業者は製造プロセスの転換(燃料転換・原料転換)により、今後10年で50%以上のCO2削減率を見込む設備投資計画を国に提出することとする。国はこれらトップランナーとなる案件を支援することにより、化学業界のGX化を促し、脱炭素化を通じた高付加価値化学品を生成し、国際競争力の維持・強化に繋げることとする。
化学分野では今後10年程度において、官民投資額を3兆円以上、国内で約1,000万トンのCO2排出削減を目標としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.