電力系統の安定化に必要な調整力を、適切に確保するために重要な変動性再エネ電源の発電量予測。政府の委員会で、その予測精度の向上に向けた新たな手法の導入効果などが報告された。
変動性再エネ電源の増加に伴い、その予測誤差に対応する調整力の調達量及びその調達費用の増大が懸念される。このため、一般送配電事業者や電力広域的運営推進機関は、三次調整力②の効率的な調達について検討を進めてきたが、その論点の一つが再エネ予測精度の向上に向けた取り組みである。
再エネ(太陽光発電)予測精度向上のためには、一般送配電事業者が気象会社から入手している気象情報の精度向上が必要であることから、気象の専門家を含む関係者で「太陽光発電における出力予測精度の向上に向けた勉強会兼連絡会」(以下、気象勉強会)を設置し、検討を行ってきた。
広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」第92回会合では、新しい予測手法の導入効果などが報告された。
現在、FITインバランス特例制度①及び③では、一般送配電事業者がFIT電源(再エネ)の出力を予測し、発電計画を作成している。一般的に、変動性再エネ電源の出力予測は、実需給に近いほど精度が高くなると考えられるため、なるべく新しい気象情報を使用することが重要である。
気象庁は、気象衛星等により1日8回(0,3,6,9,12,15,18,21時)の気象情報を取得しており、気象庁および気象会社はこれに基づき予測処理を行い、その結果を一般送配電事業者が取得し、これを元に再エネ出力予測を算定している。
よって、気象庁が情報取得したのち、一般送配電事業者がFIT通知(配信処理)を行うまで、6時間半程度の時間が必要となる。
このため現行制度では、前々日21時の気象情報をもとに、一般送配電事業者は7時間後の前日6時までに、FIT特例①の2回目通知を行っている。
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