脱炭素施策として期待のCO2回収貯留事業、その仕組みとリスク管理の在り方とは?エネルギー管理(2/4 ページ)

» 2023年12月06日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

CO2地中貯留事業におけるリスクマネジメント

 CO2地中貯留の分野では、国際規格ISO 27914(Carbon dioxide capture, transportation and geological storage)が存在する。当該規格では、6つの「事業が適合すべき要件」の観点から潜在的な脅威を検討し、特定されたリスクを分析・評価し、その対応策を計画・実行することで「リスクマネジメント」を行うことが求められている。

表2.CCSに関するISO 27914 適合すべき要件 出典:JOGMEC

 また米国エネルギー省(DOE)では、貯留事業者に対して推奨される地下評価ワークフローを提唱しており、貯留サイト選定後は、2〜5のステップを絶えず継続することにより、事業計画・仕様の最適化と同時に、事業リスクの最小化を図っている。

 CCSは石油や天然ガスの探鉱開発と共通点が多いため、探鉱開発で培われた地下評価技術の手法が適用される。

図4.地下評価のワークフロー(DOE) 出典:JOGMEC

貯留サイトのスクリーニング・選定

 上記の地下評価ワークフローの始点となるのが、貯留サイトのスクリーニング・選定である。まず貯留サイトのスクリーニング段階では、広い領域を評価し、誘発地震リスクや地質リスク等を伴う不適切なエリアを除外する。その後、貯留容量や圧入性、封じ込め能力、健全性を加味して適切なエリアを抽出、選定する。

 このように、貯留サイトのスクリーニング・選定の段階で不適切なエリアを除外することにより、リスクを大幅に低減することが可能となるため、リスクマネジメント上で最も重要な工程となる。

 サイト選定後は、個別のサイトに応じた様々なリスクシナリオを事業者自身が検討を行い、リスクマネジメント計画やモニタリング計画を策定し、これを不断に見直すサイクルの実施によって、リスクの最小化を図る。

図5.貯留サイトのスクリーニング・選定 出典:JOGMEC

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