「くらしGX」を実現へ――家庭・業務部門の省エネ・非化石転換政策の今後法制度・規制(2/4 ページ)

» 2023年12月12日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

家庭用給湯器の省エネ対策

 家庭で使用するエネルギーを用途別に見ると、給湯に約25%、冷暖房に約24%と熱利用が半分程度を占めており、熱分野での省エネや脱炭素化も必要とされる。

現状では、都市ガスが普及した都市部ではガス給湯器の比率が高く、厳冬地域ではエネルギー密度の高い石油給湯器の比率が高いなど、地域に適したエネルギーが選択されている。

図6.都道府県別 給湯器のエネルギー別構成比(2020年度の出荷ベース)出典:日本ガス石油機器工業会

 例えばガス給湯器では、トップランナー制度による現行(目標年度2025年度)のエネルギー消費効率目標値は85.3%であるが、すでに効率95%程度の商品も市場化されていることなども踏まえ、2020年代後半を目標年度とした次期目標基準値について検討に着手する予定としている。

給湯器の非化石転換に向けた新たな制度案

 これまで給湯器については、ガス温水機器のように、エネルギー種ごと・機器タイプごとに、省エネ目標基準が設定されてきたが、非化石エネルギー転換に向けた目標基準は設定されていない。

 そこで、省エネ小委第43回会合では、給湯器全体を対象として、エネルギー種横断で化石エネルギー消費量の削減や非化石エネルギー転換を図る、新たなトップランナー制度を導入することが提案された。

図7.各社の取組の実績を表す「総合指標」の算出方法(イメージ) 出典:省エネルギー小委員会

 新しい指標は、仮称「非化石転換総合指標」(総合指標)と呼ばれ、化石エネルギー消費量の削減に向けた、事業者単位で見た取組の実績を表すものである。

 具体的には、まず、各給湯器の個別製品(型式)ごとに、給湯に要したエネルギーのうち、化石エネ消費量を算出する。算出には、「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」(いわゆるWEBプロ)を使用する。

 実際のエネルギー消費量は、需要家により大きく異なるが、ここでは設計値として標準的な運転モードでのエネルギー消費量を用いることとなる。なお、化石エネルギー消費量の算出方法としては、以下の案が示されている。

表1.給湯器 化石エネルギー消費量の算出方法(案) 出典:省エネルギー小委員会

 次に、タイプ別給湯器の1台あたり化石エネ消費量をその出荷台数で乗じたうえで、自社給湯器全体での化石エネ消費量を合計し、自社の総出荷台数で割ることにより、加重平均値が得られる。これが「総合指標」となる。

 現在、地域ごとの気候や機器の設置スペース、給湯需要量等の需要特性の違いにより、合理的に導入可能な給湯器タイプは異なるため、国が「総合指標」目標基準値を設定するにあたっては、これらの違いを適切に考慮し、各社が目標年度に達成すべき目標基準値を定めることとする。

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