従来の洋上風力案件形成においては、複数の事業者が同一海域で重複した調査を実施することによる非効率さや、重複調査に伴い地元漁業における操業調整等の過度な負担が生じることが課題であった。
これらの弊害を解消するため、政府や自治体の主導的な関与により、効率的な案件形成を実現する仕組みとして、日本版「セントラル方式」の制度設計が進められてきた。
セントラル方式の一環として、JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)が担い手となり、洋上風力発電事業の検討に必要となる風況や地質構造に関する調査を実施し、洋上風力事業者は、この調査結果を用いて事業計画の検討を行うことが可能となる。
2023年1月には、北海道の3区域(岩宇・南後志地区沖、島牧沖、檜山沖)が初めて調査対象として選定され、現在、風況や地質構造に関する調査がJOGMECにより進められている。
2021年末時点で、全世界の洋上風力累積導入量57.2GWのうち、浮体式洋上風力発電はまだ123MW(0.12GW)程度であるが、計8.3GWの浮体式案件が2027年までの導入に向けて開発中である。
またNREL(米・国立再生可能エネルギー研究所)の試算によると、浮体式洋上風力発電では、世界全体で2030年までに10GW、2050年までに約270GWの案件が形成されると予想されており、長期的な導入拡大が期待されている。
英国や米国では、浮体式洋上風力の導入目標の設定や、入札・開発計画を発表しており、商用化に向けた技術開発・実証を進めている。このため、今後日本においても、浮体式に特化した導入目標を策定し、内外の投資を呼び込む必要があると考えられる。
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