太陽光発電のコスト動向が公表、FITに「ペロブスカイト区分」を創設する新案も太陽光(3/5 ページ)

» 2024年01月12日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

事業用太陽光の設備利用率

 2023年設置案件の定期報告データによると、事業用太陽光の設備利用率は表4のとおりであり、トップランナー分析を行った場合、2024年度の想定値とほぼ同水準であることが確認された。これを踏まえ、設備利用率に関する2025年度の想定値については、2024年度の想定値である、地上設置(10-50kW)21.3%、地上設置(50kW以上)18.3%、屋根設置14.5%を据え置くこととした。

表4.事業用太陽光 設備利用率の実績 出典:調達価格等算定委員会

事業用太陽光における屋根設置自家消費分の便益

 定期報告データで、屋根設置の事業用太陽光(全量売電を除く)の自家消費比率の実績を見ると、足元では約42%へと上昇している。これは2020年度以降、低圧事業用太陽光(10-50kW)に対して地域活用要件として、30%以上の自家消費を認定要件としたことの効果であると考えられる。

 委員会では引き続き自家消費を促す観点から、2025年度の調達価格等の設定にあたっては、2024年度の自家消費率想定値30%を据え置くこととした。

 自家消費便益の2025年度の想定単価については、大手電力の直近10年間の産業用電気料金単価の平均値に、消費税10%を加味した19.56円/kWhへと更新する。

図3.屋根設置事業用太陽光発電の自家消費率 出典:調達価格等算定委員会

事業用太陽光におけるその他2025年度単価の想定値

接続費

 2023年設置案件の定期報告データによると、「接続費」の実績は、2024年度の想定値(地上設置:1.35万円/kW、屋根設置:0.3万円/kW)とほぼ同水準であったため、これを据え置くこととした。

運転維持費

 2023年設置案件の定期報告データによると、「運転維持費」の実績は、地上設置/屋根設置のいずれも、中央値は2024年度の想定値を下回るが、平均値は2024年度の想定値とほぼ同水準であるため、2024年度の想定値(0.5万円/kW/年)を据え置くこととした。

運転年数

 2024年度の想定値を据え置き、地上設置は25年間、屋根設置は20年間とする。

調達期間終了後の売電価格

 電力小売が全面自由化された2016年度から2022年度までのJEPXスポット市場のシステムプライス平均値を採用し、11.6円/kWhを想定値とする。

 以上より、2025年度の事業用太陽光発電(入札対象範囲外)の調達価格・基準価格を設定するための想定値は、表5のとおりである。

表5.2025年度事業用太陽光 想定値 出典:調達価格等算定委員会

 なお、2024年度から導入される発電側課金については、新規FIT/FIPの調達価格等の算定において考慮する必要があるため、今後の委員会で検討を行う予定である。

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