日本未投入の太陽光関連技術もテスト中、ファーウェイの中国生産拠点の現地レポート太陽光(2/2 ページ)

» 2024年01月22日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]
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パワコンや蓄電池の“安全性”を追求

 設備の安全性を検証するエリアもある。ファーウェイのハイブリッドパワーコンディショナーには、太陽光発電システムの大きな危険因子である直流アークを検知するチップセットが内蔵されている。これにより直流アークが発生した場合には0.5秒以内に電流を遮断するというが、そうしたデータもここで検証される。その他、2023年に中国でリリースされた300kWタイプのパワーコンディショナーなども置かれており、ブレーカーの温度異常を検知する機能や、設置の際の接続ミスを発見する機構などが試されている。

蓄電システムの安全性の検証も実施している

 蓄電池の安全性についても、長期にわたる屋外試験を実施している。ファーウェイの蓄電池は、火災リスクの少ないリン酸鉄リチウムセルを採用し、独自の消防機能を搭載。蓄電システムを構成する蓄電池パックには、それぞれにパワーオプティマイザーを内蔵し、充放電の最適化を実現する。さらに、クラウドのBMS(Battery Management System)も使って、セルの過放電・過充電を防ぐとともに、電圧の均等化や温度管理などを徹底。そうして得られる安全性を、この屋上で検証しているという。

AIを活用した太陽追尾システムも設置

 並べられた太陽光パネルの一部は、太陽光追尾式架台(トラッカー)に据え付けられている。太陽光を効率よく受けて、最大発電量が得られるよう、太陽光パネルの角度を自動でコントロールする機構を搭載したものだ。トラッカーにはチルト角だけを動かす1軸タイプと、チルト角と方位を動かす2軸タイプがあるが、この屋上には、シンプルな構造でコストパフォーマンスにも優れた1軸トラッカーが導入されている。

 ファーウェイは、いくつかの架台メーカーと協業関係を結び、トラッカーを動かすソフトウェアとアルゴリズムを開発・販売している。そこには、天文学的知見に基づいた従来のトラッカーとは異なる、独自のノウハウが生かされているという。従来のトラッカーが現地の緯度経度に合わせて機械的に架台の角度を調整していくのに対し、ファーウェイでは、それに加えAIが自動的に最適な確度の調整を行うスマートラーニングシステムを導入している。

AIを活用した太陽追尾システムの検証も進めている

 そのことにより、例えば、太陽光パネルに影を落とす遮蔽物がある場合には、それを踏まえて角度調整を行うなど、常に最適な太陽光追尾を行うことが可能になったという。同トラッカーは、江西省の太陽光発電所などで採用され、発電量アップが確認されている。ここでは、並置された通常の架台との違いを、より詳細に検証する作業が進められている。

 このトラッカーをはじめ、南方工場の屋上でテストされる製品には、日本にはまだ来ていないものも少なくない。高レベルな信頼性試験のもと、日本の太陽光発電市場に投入される日が待たれている。

【取材協力:華為技術日本】

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