2050年の電力需要の想定 電化や省エネはどの程度進むか?エネルギー管理(4/5 ページ)

» 2024年02月02日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

電化の進展の想定

 過去30年程度で、家庭部門や業務部門においては電化率が上昇しているものの、産業部門ではほぼ横ばいが続いている。(図7の「運輸」は道路交通部門に限る)

図7.過去30年間の電化率の推移 出典:電中研

 家庭部門での電化は、暖房や給湯、厨房などの熱需要について、ヒートポンプやIH技術による電化が想定される。

 デロイトによるコスト最小化を前提としたシミュレーションでは、家庭の厨房では2050年に90%以上の電化(IH化)が進む結果となった。モデル分析の場合、経済合理性が成立すると突然、技術が完全代替するなど、極端な変化を示すこともあることに注意が必要であり、現実的にはロックイン効果により、変化は緩やかに生じると想定される。

図8.デロイトによる2050年家庭部門のエネルギー消費量 出典:デロイト

EVの普及による電化の進展

 運輸(道路交通)部門は、2050年時点の最大の電化需要となると想定されているが、その充電需要の規模は、どのような車両構成を想定するかに依存すると考えられる。電中研による電動車の販売台数比率・保有台数は、表3のとおりであり、多くのケースで電気自動車(BEV)が最多を占めている。

 他方、RITEのモデル分析では、2050年時点でもプラグインハイブリッド車(PHEV)が最多を占めている。これは、モデル分析の前提条件として、PHEVがBEVよりも低価格であるためと考えられる。

表3.電中研による電動車の販売台数比率・保有台数 出典:電中研
図9.RITEによる乗用車車種構成(保有台数) 出典:RITE

 「技術検討会社」3者による道路交通部門の電化に関する将来想定は、各社の前提条件の違いがあるものの、一定の幅に収斂する結果となった。仮に2050年時点で700億kWhと想定するならば、現在の系統需要の8%程度に相当する電化需要が生じることとなる。

図10.「技術検討会社」による道路交通部門の電化に関する将来想定 出典:日本総研

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