通常の大規模な発電機であれば、原則どおりオンラインによる一次調整力への参加が期待される。オフライン枠は、新たなリソース発掘やアグリゲーター育成といった観点から設定されるものであるため、参入対象リソースは、「需要側リソース(DSR)」、「蓄電池」、および「発電機(1,000kW未満)」に限定されている。
ただし、DSRには需要家の受電点以下(behind the meter)に接続されているあらゆるリソースが含まれるため、自家発電設備(自家発DSR)の取扱いが論点となる。
カーボンニュートラル実現に向けては、調整力の脱炭素化も重要であることから、自家発DSRにおける発電設備については、環境負荷が小さいものに限定することとした。具体的には、長期脱炭素電源オークション制度の対象電源に該当するか否かで判断する。
同オークションにおいて脱炭素電源とは、CO2の排出防止対策が講じられていない火力発電所を除く、”あらゆる発電所・蓄電池が想定される”、と整理されている。
なお、「発電機(1,000kW未満)」はアグリゲーター育成といった異なる目的でオフライン枠への参入を認めていることから、「発電機(1,000kW未満)」に対しては、環境負荷(脱炭素)の判断方法は適用されない。
先述の表1のとおり、通常の一次調整力の「応動時間」の要件は、10秒以内とされている。応動時間とは、一次調整力が供出可能量の全量を供出するまでの時間を意味する。
「次世代の分散型電力システムに関する検討会」等における検討の結果、応動がリニアなリソースにおいては、応動時間要件を緩和することでΔkW供出量の増加が期待できることや、応動時間が30秒であれば、一次調整力応札量の増加が期待できることが確認された。
現行の一次調整力は、「平常時対応(時間内変動対応)」と「異常時対応(電源脱落対応)」に、その機能が分かれており、それぞれの必要量は以下の算定式で与えられ、両者の合計量が一次調整力全体の必要量となっている。
一次調整力の要件をいたずらに緩和した場合、異常時(電源脱落による周波数低下)には応動性の悪化により、さらなる周波数低下を招き、最悪の場合はブラックアウトに至るおそれがある。このため、オフライン枠の応動時間30秒緩和については、「平常時対応」の範囲内で設定することとした。
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