一次調整力のオフライン枠 応動時間を緩和し調達上限値は大幅拡大へエネルギー管理(1/4 ページ)

電力系統の安定化に必要な「調整力」を取り引きする需給調整市場。最も高速な応動が求められる「一次調整力」についても、需要側リソースや蓄電池等の参入を促すため、「オフライン枠」の設定や応動時間の緩和が予定されている。このほどその方針が公開された。

» 2024年02月22日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2024年4月から、需給調整市場のすべての商品の取り引きが開始される。既に取り引きを開始している三次調整力①・②については、取り引き開始当初から応札不足が続いており、現在も解消には至っていない。電力の安定供給の確保や調整力コスト抑制の観点からは、より多くのリソースが需給調整市場に参加し、取り引きを活性化することが期待される。

 このため、最も高速な応動が求められる「一次調整力」についても、需要側リソース(DSR)や蓄電池等の参入を促すため、「オフライン枠」の設定や応動時間の緩和が予定されている。

 電力広域的運営推進機関の「需給調整市場検討小委員会」第45回会合では、一次調整力オフライン枠が大幅に拡大される結論となった。

一次調整力 オフライン枠の暫定的な上限値

 需給調整市場に参加する調整力は、一般送配電事業者がその応動を確認(監視)する必要があるため、原則、専用線によるオンライン監視がその商品要件とされている。

表1.一次調整力の商品要件 出典:需給調整市場検討小委員会

 他方、一次調整力は元々、自端制御(一般送配電事業者から発電機等に対する指令・制御が不要)であるため、応動監視のためだけに専用線を構築することは、小規模なリソースにとって、新規参入の妨げになり得る。このため、応動実績データを事後に提出することを前提に、一次調整力の一部に、オフライン枠が認められている。

 オフライン枠の一次調整力リソースについては、一般送配電事業者からリアルタイムでその応動を把握できないため、系統運用への影響の有無を確認する必要がある。

 現在、一般送配電事業者は、エリア「需要」値を把握するため、電力系統に出力を供出しているすべての発電機等の実出力値をリアルタイムに収集し、足し合わせることで、「ミラー」的に需要値を算出している(電力は常に需要=供給であるため)。

 一部の発電機等の出力が「見えなくなる」ことにより、エリア需要値把握の精度が低下することは、需給調整の精度低下の原因となり得るものである。このため、小委では当初、一次のオフライン枠についてはスモールスタートとして、調達上限量を設定することとした。具体的には、容量市場における発動指令電源の調達上限の比率(4%)に倣い、一次調整力エリア必要量の4%を暫定的な上限値としていた。

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