一次調整力オフライン枠(応動時間30秒)については、「異常時(電源脱落)」対応必要量には適用せず、「平常時(時間内変動)」対応必要量の範囲内で調達することとした。平常時対応に特化したオフライン枠は、応動時間30秒への緩和により、平常時の周波数品質に影響を与えるおそれもある。
このため当初は、暫定的に一次調整力エリア必要量の4%としていたが、オフライン枠の調達上限量をどこまで引き上げることが可能であるのか、検討が行われた。理論上は、一次調整力「平常時必要量」の“全量”が調達上限値となる。
オフライン枠の応動時間要件(30秒以内)は、通常の一次調整力の応動時間(10秒以内)と比較して長いため、周波数変化に対するリソースの応動が遅く、平常時の周波数品質に影響を与える可能性も否定できない。
ただし、オフライン枠とは「応動時間」(供出可能量の全量を供出するまでの時間)のみを緩和したものであり、「遅れ時間」(周波数変化からリソースが出力変化を開始するまでに要する時間)や「調定率」等の技術要件については、通常の一次調整力と同じである。
「調定率」とは、定格出力の100%応動となる周波数変動量の基準周波数に対する比率であり、調定率5%とは、基準周波数50Hz(東日本)の5%(=2.5Hz)の変動があった場合に、定格出力の100%応動となり、0.2Hzの変動では定格出力の8%応動、0.1Hzの変動では定格出力の4%応動となることを意味している(図4の赤線や青線の傾き)。
ただし、この調定率はあくまで基準周波数付近での応動を定義しており、リソースの機械的な限界等により、実際には、すべての周波数変動に対応するものではない。よって、30秒応動のオフライン枠とは、10秒応動可能な量(▲0.2Hz偏差時)が、機械的な限界等まで余裕がある場合に、余力を残さずに活用(適切に評価)する仕組みといえる。
また、一次調整力における平常時のアセスメントIIは、「評価点における出力変化量をもとに30分コマ単位で近似線を算出し、近似線の傾きが調定率傾きと同方向にあること」であるため、一次の技術要件を満たすリソースであれば、平常時の一次に求められる応動は問題なく可能と考えられる。
以上より、応動時間以外の技術要件が同一である現時点、オフライン枠の調達上限引き上げに伴うGF要因での周波数品質への影響は限定的であるため、これを理由とする調達上限値を設ける必要はないと判断された。
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