2024年度の再エネ出力制御量の見通しと、出力制御対策の進捗状況エネルギー管理(1/4 ページ)

資源エネルギー庁が管轄する系統WGで、2024年度の再エネ出力制御の見通しと、出力制御量の低減に向けた対策の進捗状況が公表された。

» 2024年03月21日 11時30分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 再エネ電源の導入増加により、需給バランス制約により再エネ出力制御を実施するエリアは全国(東京エリアを除く)に拡大し、出力制御量も増加傾向が続いている。

図1.エリア別 再エネ出力制御量(2021〜2023年度) 出典:系統WG

 資源エネルギー庁では、再エネ電源の出力制御の発生可能性について、短期的な見通しを毎年2回程度、系統WGで示すこととしている。系統WGの第50回会合では、2024年度の再エネ出力制御の見通しや出力制御対策の進捗状況が公表された。

2024年度の各エリアの再エネ出力制御見通し

 最新の前提条件に基づく、2024年度の各エリアの再エネ(太陽光・風力)出力制御率の見通しは、表1のとおりである。系統WGにおいて出力制御の見通しが算定される再エネとは、太陽光・風力の変動性再エネであり、以降は記述を省略する。

 東京エリアは、需給制約による出力制御が発生する蓋然性は低いため、出力制御率は算定されていない。また、九州エリアは2023年度見通しと比較して想定晴天日が減少しているため、2024年度の制御率は減少する試算結果となった。

 2023年度はまだ年度の途中であるが、これまでの実績を反映し、表1では以前の算定から出力制御率を更新している。

表1.2024年度の各エリアの再エネ出力制御率の見通し 出典:系統WGを基に筆者作成

 2023年度と比べ、出力制御率が増加する主な要因は再エネ導入量の増加であり、2023年9月末の設備量(図2)に、至近の増加量を考慮した算定を行っている。

図2.太陽光・風力の導入量推移 出典:系統WG

 出力制御率の試算において、電力「需要」は原則2022年度実績を用いているが、至近の実績を考慮して、東北では▲3%、中国で▲5%、四国で▲5%の需要減(いずれも2022年度比)を見込んだことにより、出力制御率が増加する一因となった。

 再エネ出力制御率は、地域間連系線を活用して他エリアにどの程度、送電できるかによっても、大きく数値が変わり得る。よって、出力制御率の試算では、各エリアで出力制御が発生する時点における蓋然性が高い連系線利用率の値を採用している(表2)。なお、関西エリアの「−20%」などのマイナス値は、他エリアからの受電を意味している。

 中国エリアでは2023年度実績を踏まえ、連系線利用率を0%と想定したことが、出力制御率増加見込みの一因となっている。

表2.2024年度試算で想定した連系線利用率 出典:系統WGを基に筆者作成
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