JPEAでは、2050年断面における太陽光発電産業の経済波及効果を試算している。試算の前提条件として、資本費相当分(調査・開発、パネル・周辺設備、設置工事)に関しては2050年における新規導入量20GWを対象として、O&M(運転維持費相当分)は累積導入量400GWを対象、リユース・リサイクル事業は耐用年数超過に伴う撤去分および被災に伴う撤去分(リユース0.2GW、リサイクル5.9GW)を対象として分析を行ったところ、合計で生産誘発額は約6.4兆円、雇用誘発数は約51.3万人となった。
再エネの電力市場への統合等を目的として、2022度からFIP制度が導入されたが、既存のFIT件数・出力と比べると、太陽光発電のFIP移行は現時点、ごくわずかである。
現行のFIP制度では、再エネ事業者に対して、余剰電力が発生しやすい季節から需給逼迫が懸念される季節への発電シフトのインセンティブを与えるため、前年度の市場平均価格を参照し当該月ごとに補正を行う方式としている。
この仕組みが、発電事業者や金融機関から見ると複雑であり、事業予見性の確保を困難にしている面もあるため、JPEAでは、参照する市場価格を当該月とする制度変更を要望している。
また、FIPへの移行と蓄電池の併設を促す目的で、FIP移行後の事後的蓄電池併設時の価格変更が緩和されたが、現行の方法(PCS出力kWと過積載部分の太陽電池出力kWとの比率での加重平均値に価格変更)では、売電価格が大きく下がるケースがあるため、高額な蓄電池を事後的に導入するインセンティブに乏しい、と指摘されている。
よってJPEAでは、事後的な蓄電池設置により増えた売電量について十分に低い価格を適用し、蓄電池設置前の売電量に関しては設置前の価格を維持することに、仕組みを改めることを要望している。
FIT/FIP制度の改善による適切な事業者インセンティブの向上は重要であるが、FIT調達期間の終了後、もしくは非FIT/非FIP案件は、通常の電源と同様に売電単価は市場価格の変動にさらされることとなる。昼間帯しか発電できない太陽光発電では特に、事業予見性の確保は困難と考えられている。
このためJPEAでは、化石燃料電源との相対的な価格優位性を上げ、太陽光発電の卒FIT後の長期安定稼働を実現させるため、炭素税や排出量取引制度などによるカーボンプライシングを早期に導入することを要望している。
国はすでにGXリーグのもとで排出量取引制度(GX-ETS)を2023年4月から開始しており、2033年度頃から発電部門では有償オークションの導入を予定しているほか、2028年度から化石燃料賦課金の導入を予定しているが、それらの着実な導入が期待される。
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0円で落札の案件も登場、第19回の太陽光発電のFIT/FIP入札Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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