長期AX(応札年度:2023年度)の約定結果は、脱炭素電源が401.0万kWであり、蓄電池・揚水は上限100万kWを超えて、合計166.9万kWが約定された。またLNG専焼火力は575.6万kWが約定し、3年間の募集量600万kWのほぼ全てが初年度で調達される結果となった。
また広域機関では、一定の前提条件に基づき他市場収益の還付額を推計し、これを控除した後の実質的な支払総額の試算についても公表している。直近3年のJEPXスポット市場価格が高水準であったため、LNG専焼火力では、還付額が容量確保契約金額を超過する試算上の逆転現象も生じている。なお蓄電池・揚水は、発電コスト検証において可変費・設備利用率が公表されていないため、他市場収益還付額を試算しておらず、表3の還付額控除に含まれていない。
発電方式別に見た応札容量・落札容量・落札率は図3のとおりである。応札容量が上限枠を超過した蓄電池・揚水では、電源間の競争が作用し一定量の非落札が発生したが、他の発電方式では、水素混焼(リプレース)を除き、落札率が100%という結果であった。蓄電池の落札件数は30件、揚水の落札件数は3件である。
また、落札容量のうち新設・リプレースが全体の91%を占めており、揚水の3件はいずれもリプレースである。
全国の応札容量は合計で1,356.2万kW、そのうち落札容量が976.6万kW(72%)、非落札容量が379.6万kW(28%)であった。また、エリア別に見た応札容量・落札容量は図4のとおりである。四国エリアの落札容量が0、北陸エリアの落札容量が4万kWであるなど、エリア間の差が大きい結果となった。さらに50Hz/60Hzの広域エリアで捉えるならば、50Hzブロックで約260万kW、60Hzブロックで約717万kWとなり、西エリアで多く約定されたことが分かる。
また、容量市場で初の追加(調達)オークション(応札:2024年度、実需給:2025年度)が開催されることとなった北海道・東京・九州エリアでは、長期AXでも総じて落札率が低い傾向にある。
長期AXでは、電源ごとに定められた期限内(※表2参照)であれば供給力提供開始年度を事業者が自由に選択可能であるため、落札電源毎に供給力提供開始時期や制度適用期間が異なる。実需給年度毎の落札容量は、図5のとおりである。今回の初回オークション分だけでも、一部の電源を対象に2070年度まで制度適用期間が続くことが明らかとなった。
最も早い2027年度には、31万kWの落札電源が運転開始を予定している。
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