導入量が鈍化傾向の太陽光発電、2030年以降に向けた課題と見通し第64回「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」(2/4 ページ)

» 2024年07月23日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

2030年までの太陽光発電の導入見通し

 ただし近年の国内PV導入は鈍化しており、現行トレンドが継続した場合、2030年度の累計導入量は100GW程度に留まると推計されている。JPEAでは、地域との共生を前提としたコスト競争力の向上等を実現し、非FIT/非FIP電源の大幅拡大や、住宅用(10kW未満)の新規導入倍増等を通じて、累計125GWを目指すとしている。

 国は、新築住宅における太陽光発電搭載率を2030年度までに60%とする目標を掲げているが、2022年度の実績は31.4%に留まる。この目標を達成するためには、東京都や川崎市のようなPV設置義務化を全国的に進めることについても検討が求められる。

図3.2030年までのPV導入見通し(現行トレンドと野心的目標) 出典:JPEA

太陽光発電コストの見通し

 JPEAでは、PVが「FITから自立した主力電源になること」を2030年までに達成すべきとして、発電所建設コストや維持管理費の低減を進めると同時に、カーボンプライシングの導入も不可欠と位置付けている。

 非FIT事業用PV(オフサイト型)の2050年に向けたコスト等分析は表1のとおりである。カーボンプライスは、IEAのWorld Energy Outlook 2023/APSシナリオの想定値を採用している。売電単価は、太陽光が発電する時間帯における卸電力単価(太陽光キャプチャープライス)を採用している。今後PVが一定のIRRを確保し、関連事業者が長期的な予見性を確保するためには、カーボンプライシング政策を明確にすることが必要となる。

表1.事業用PV(オフサイト型)のコスト等分析 出典:JPEA

 カーボンプライシングは、卒FIT/FIP電源が長期安定的に発電を継続することや、優良事業者への事業集約を進める上でも、重要な施策であると考えられる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.