中小水力発電は、エネルギーミックス2030年導入目標10.4GWに対して、2023年12月末時点の導入量は9.9GW、FIT/FIP認定済の未稼働量は0.3GWとなっている。再エネ大量導入小委で報告を行った中小水力発電4団体(公営電気事業経営者会議、大口自家発電施設者懇話会水力発電委員会、水力発電事業懇話会、全国小水力利用推進協議会)は、直近の導入ペースを基に試算したところ、2030年までに0.5GW程度の追加導入が見込まれ、目標10.4GWの達成は可能と判断している。
全国小水協の試算によれば、中小水力発電のポテンシャルは4GW程度あり、すでにFIT/FIP認定済みの2.5GWを除く、残る1.5GWを速やかに開発することが課題となる。
水力発電は100年を超える長期運転が一般的であり、初期投資費用の回収後(卒FIT/FIP後)は、市場価格(15円/kWhを想定)で運転継続が可能としている。
中小水力発電における今後の収益性改善策としては、貯水池運用の高度化による発電電力量の増加や、出力調整(タイムシフト)が考えられ、最大出力換算30分の貯水量で年平均売電単価が0.2円/kWh上昇するとのシミュレーション結果も得られている。
木質バイオマス及びメタン発酵バイオガス発電を含むバイオマス発電全体の導入状況は、エネルギーミックス2030年導入目標8.0GWに対して、2023年12月末時点の導入量は7.4GW、FIT/FIP認定済の未稼働量は3.4GWとなっている。このうち木質バイオマスについては、2030年時点導入量は5.5GW(550万kW)程度と見込まれており、家畜排泄物や下水汚泥等を原料とするメタン発酵バイオガス発電は、0.1GW程度と見込まれる。
木質バイオマス発電のうち、主に輸入燃料(PKS等の農作物残渣を含む)を使用する発電所についてはバイオマス発電事業者協会から、主に国産燃料については、日本木質バイオマスエネルギー協会から報告が行われた。
木質バイオマス発電については、持続可能性要件やライフサイクルGHG基準への適合を大前提として、木質バイオマス燃料の安定的な調達が重要となる。国内の間伐材等由来チップの価格も上昇傾向にあるものの、化石燃料の大きな価格変動と比較すれば、相対的に価格は安定的であることが報告された。
しかしながら、卒FIT後には、現在の価格水準の燃料では採算が取れないことが懸念されており、早生樹や新規バイオマス燃料の活用によるコスト低減策や、熱電併給による売熱収入の確保が検討されている。
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