中期の再エネ出力制御の見通しが更新、系統用蓄電池の早期接続を促す新施策も第52回「系統WG」(1/4 ページ)

資源エネルギー庁の系統ワーキンググループにおいて、再エネの出力制御の見通しが更新。今後増加が見込まれる系統用蓄電池の導入について、早期の系統接続を可能にする新施策の方針も公表された。

» 2024年09月25日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 再エネ電源の迅速な系統接続と既存系統の効率的な活用を目的として、ノンファーム型接続が導入され、2024年6月末の累計契約申込は約1,900万kW、その前段階である接続検討は約1億3,400万kWに上る。ノンファーム型接続は、平常時における系統混雑時の出力制御を前提とした仕組みであるが、ノンファーム型接続電源の更なる増加に伴い、2027年度頃から端境期での系統混雑が発生しはじめ、2028年度にはピーク需要断面で最大20万kW程度の系統混雑が全国で発生すると推計されている。

 発電事業者が事業収益性を適切に評価するためには、系統混雑による出力制御の予見可能性を高めることが重要である。また系統混雑が発生した際には、混雑系統内にある供給力kW・調整力ΔkWの活用が制限されるため、電力の安定供給確保の観点からも、将来の系統混雑発生の見通しを確認することは重要である。

 このため電力広域的運営推進機関の「需給調整市場検討小委員会」や「広域系統整備委員会」では、短期的及び中長期的な系統混雑に関する見通しに関する検討が行われ、資源エネルギー庁の系統WGでは、これに基づく再エネの出力制御の見通しが更新された。

2027・2028年度の系統混雑見通し

 系統混雑が発生した際、混雑系統内にあるノンファーム型接続電源はその出力が制御されるため、当該電源による供給力kW・調整力ΔkWの供出には一定の制約が生じることとなる。現在、需給調整用ΔkWはエリア全体で確保する仕組みであり、系統混雑によって混雑系統内にあるΔkWが発動制限された場合には、非混雑系統でΔkWを代替確保する必要がある。

 各エリアの基幹系統における2027年度・2028年度のΔkW発動制限量を確認したところ、表1の通りであった。

表1.需給調整用ΔkWの発動制限見通し 出典:需給調整市場検討小委員会

 東北・東京・中部・中国エリアでは、系統混雑は軽負荷期に発生する見通しであり、非混雑系統側の余力は設備量としては十分にあることから、非混雑系統においてΔkWを代替することは可能と考えられる。

 一方、北海道エリア(2028年度)では、エリア内調整電源の77%に相当する3,933MWもの需給調整用ΔkWが、系統混雑の発生により発動制限を受けることが明らかとなった。ただしこのケースでは、混雑系統内のΔkWの大半は混雑系統内で活用可能であり、非混雑系統側にも十分な代替余力があるため、需給調整用ΔkWは充足することが確認されている。同様に北陸エリアについても、非混雑系統側の余力を活用することにより、ΔkW代替確保は可能であることが確認されている。

図1.北海道エリアの需給調整用ΔkWの不足への対応 出典:需給調整市場検討小委員会

 以上より、2027年度・2028年度においては系統混雑の影響は小さいため、基幹系統・ローカル系統のいずれもノンファーム型接続電源の需給調整市場への参加制限は実施しないと整理された。なお容量市場についても、2027年度・2028年度は、ノンファーム電源も参加可能とすでに整理されている。

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