資源エネルギー庁の系統WGでは、需給バランス制約による再エネ出力制御の短期見通しについて、毎年2回程度、情報を更新することとしている。
2024年度の再エネ出力制御見通しは、前回(2024年3月)の試算と比べると、日射量の減少や再エネ電源導入量の鈍化により、再エネ発電量が減少したことにより、複数のエリアで出力制御率も低下する見通しとなっている。関西では原子力の点検工程変更等により、当初想定より増加する見込みである。
8月開催の再エネ大量導入小委において、優先給電ルールに基づく再エネ電源の出力制御の順番を、電力需給バランスへの貢献という点における公平性を確保するため、FIT電源→FIP電源の順に変更する案が示された。
さらに、FIT・FIP以外の電源(非FIT/非FIP電源)は、自ら発電計画を策定するなど需給バランスへの貢献が高いことを踏まえ、FIP電源と同じカテゴリで扱うこととした。
今回の見直しにより、FIP電源は出力制御の頻度が低下することが見込まれる一方、FIT電源は出力制御の頻度が増加すると見込まれる。系統WG事務局によるFIT電源の出力制御率の試算結果は表5の通りである。表5の最右列では、FIP比率が25%に増えると、現行制度では20.0%の出力制御率が26.7%へ増加することを示している。
現時点ではFITからFIPへの移行は必ずしも容易ではないが、この制度変更により、アグリゲーターの活用が後押しされるなど、FIP移行への環境が整備されるといった好循環が生じることが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10