本稿冒頭の図1で示した通り、中部関西間連系線と中国九州間連系線は「周波数維持」制約により、運用容量が設定されている。周波数制約のある連系線では、系統増強を行う対策のほか、送電線ルート断故障(N-2故障)の緊急時に負荷制限(停電)を行うことにより、周波数低下を抑えることを前提として、運用容量を拡大することも可能となる。
負荷制限の方法としては、周波数が下がる前に実施する「系統安定化システム」と、周波数が下がった後に実施する「負荷側UFR」の2つがあるが、「大きな周波数低下事象に対し、一部の需要を切り離して(一部停電させて)大規模停電の未然防止を図る系統安定化制御」という意味では同じものと考えられている。
中部関西間連系線(中部向き)は、2023年度以降、市場分断率が大きく上昇しており、連系線運用容量が比較的小さい夜間には、特に分断が多く発生している。
中部関西間連系線については、2026年度の中地域交流ループ運用の開始により、周波数維持制約は解消される予定であるが、それまでの短期的対策も求められている。同連系線では、すでに負荷制限は織り込まれているが、運用容量の設定断面数の更なる細分化により、運用容量の拡大を検討する予定としている。
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