送電(健全)側でのEPPS起動条件(周波数)を見直すことにより、EPPS動作の確実性が高まるが、過度に条件を緩和してしまうと、故障側エリアだけでなく健全側エリアでも問題が生じるおそれがある。
現在、中西エリアと東エリアのいずれも、平時における周波数の調整目標範囲を±0.2Hzとしており、この範囲であれば、健全側エリアへの影響は軽微であると考えられる。
そこで広域機関では、軽負荷期(5月GWの深夜)で総需要規模(系統容量)が小さい最も過酷な条件のもとで、送電(健全)側EPPS起動周波数を−0.2Hz以上に見直した場合の周波数変動について、簡易的な試算を行った。
なお一般送配電事業者各社は、大規模な停電(ブラックアウト)を避けるため、交流同期エリアごとに、図4のような周波数低下水準ごとの対策を整理している。これに照らし合わせると、表3の周波数変動は、健全側エリアで揚水発電ポンプ遮断(49.5Hz/59.5Hz)や負荷側UFR動作(49.0Hz/59.1Hz)を行う閾値には至らないことが確認された。ただし、今回の試算は簡易的なものであるため、広域機関では今後、動的な周波数シミュレーションを行う予定としている。
図5のように、現在の中西エリアの±0.2Hz滞在率は、軽負荷期でも99.96%程度あるため、送電(健全)側EPPS起動周波数を−0.2Hz以上に見直した場合、EPPSはほぼ確実な動作が見込めると考えられる。
なお現時点、需給調整市場における異常時対応調整力については、EPPSが不動作となる可能性を踏まえ、EPPS動作量を考慮せずに、調整力必要量を算定している。
今回のEPPS動作条件の見直しにより、EPPS動作が確実となるならば、異常時対応調整力の必要量(募集量)を減らすことが可能となり、調整力調達費用を低減することも期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10