転機を迎える間接送電権市場 新たに6つの地域間連系線で商品追加へ第1回「間接送電権の制度・在り方等に関する検討会」(2/4 ページ)

» 2025年01月31日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

間接送電権の発行量と経過措置の影響

 スポット市場でエリア間値差が発生する場合、取引所(JEPX)には値差による収入(混雑収入)が発生する(市場間約定代金差額:2023年度約450億円)。その値差収入の一部は電力広域的運営推進機関に納付され、一般送配電事業者等による系統増強費用として交付されている。

 またJEPXが発行する間接送電権も、この混雑収入を原資としているため、JEPXに過度なリスクを負わせないため、その発行量は連系線の「空容量」を上限としている。ここで空容量とは、連系線の「運用容量」から「マージン」と「経過措置」計画量を差し引いた量を意味する。

図2.間接送電権の発行量の推移イメージ 出典:間接送電権の在り方等に関する検討会

 また経過措置数量とは、間接オークション導入前から先着優先ルールに基づき連系線を利用していた事業者に与えられた一種の優先枠である。経過措置対象事業者は、JEPXから事後的に経過措置給付金を受け取ることにより、実質的にエリア間値差リスクを負わないこととなる。これまで、経過措置対象事業者は32社、2023年度の総額は約405億円に上り、連系線別に見ると東北−東京間が最大の約263億円である。(経過措置量は非公開)

図3.経過措置給付金(2023年度・連系線別:百万円) 出典:JEPXを基に筆者作成

 間接送電権が設定されている5連系線・6商品(潮流方向)のうち、関西−四国間(逆方向)と中国−九州間(逆方向)は、運用容量に対する経過措置量の割合が特に高い状況にある。多くの連系線・潮流方向において経過措置が適用されており、経過措置終了後は値差の影響を受けるエリア間取引が増加することにより、間接送電権の取引量が増加すると考えられる。

図4.連系線運用容量と経過措置量の割合(2024年度) 出典:間接送電権制度・在り方検討会

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