AIやDXの進展に伴うデータセンターの急増など、電力インフラにも大きな影響が見込まれる社会変革が進んでいる昨今。総務省と経済産業省は、電力と通信などの業界を横断した連携による効率的なインフラ整備の推進に向け、新たに「ワット・ビット連携官民懇談会」を設置した。
日本の経済成長や社会機能の維持・向上の鍵となる「地方創生2.0」の実現のためには、地域におけるAI活用を含めたDXの推進が喫緊の課題とされている。特に生成AIの登場により、必要となる計算力や通信トラフィックは大きく増加しており、データセンター(DC)やネットワークセンターにおける電力需要は急速な拡大が想定されている。
また「GX2040ビジョン」では、電力と通信の効果的な連携を意味する「ワット・ビット連携」により、AI活用を通したDXを加速させ、成長と脱炭素の同時実現を目指すGXの効果を最大化させていく方針が示されている。
しかしながら現在、DC等は一部エリアに局地的に立地する傾向にあり、系統増強費用の高額化や系統接続に長期間を要することが課題となっている。
このため、電力事業者・通信事業者・データセンター事業者の投資の予見可能性を高め、効率的な電力・通信インフラの形成に向けて、官民の関係者における連携・協調を推進するため、総務省と経済産業省は新たに「ワット・ビット連携官民懇談会」を設置した。
2030年、AI同士が自律的に協働し最適化する社会において、国内で必要とされる計算能力は、2020年と比べ300倍以上の1,960エクサFLOPs(1エクサ=100京)に増加すると試算されている。
ただし現時点、データセンター(DC)は全国にまんべんなく立地するのではなく、その9割が大規模需要地である首都圏と大阪圏に集中している。また、国際通信の海底ケーブル陸揚局は、約5割が関東(房総半島及び北茨城)、約3割が関西(志摩半島)に集中している。
大規模災害が発生した際には、これらの機能が失われることにより全国的な影響が生じるおそれがあり、レジリエンス強化の観点から、DC等をより幅広い地域に分散立地させることが求められている。
通信事業者によるオール光ネットワーク(APN)等が整備されることにより、通信遅延に起因する需要地からの距離制約が緩和されることが期待される。
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