世界の地熱発電(従来型)の設備容量は、2023年時点で約15GWと推計されている。次世代型地熱技術に対する期待は世界でも高まっており、国際エネルギー機関(IEA)のレポート「The Future of Geothermal」によると、低コストシナリオにおける次世代型地熱発電の設備容量は、2035年に120GW、2050年には800GWを超えると見込まれている。これを実現するために必要となる世界の累積投資額は、2035年までに7,000億USD、2050年までに2.1兆USDと試算されている。
シェールオイル・ガスの開発が盛んな米国では、同技術を用いたEGS等による次世代型地熱の開発が進められており、米国エネルギー省(DOE)の「Pathways to Commercial Liftoff: Next-Generation Geothermal Power」では、EGSの発電コストを2035年までに90%削減し、$45/MWh(約6.7円/kWh)とすることを目標としている。また次世代型地熱によって、米国の現状3GWの地熱発電容量は、2050年までに90GW以上に拡大し得ると推計している。
米国のトランプ大統領は再エネではなく化石燃料を優先する政策を打ち出しているが、地熱エネルギーは地下資源の一つとして引き続き重視されている。
欧州では、先述のEavor社のプロジェクトに対して、欧州投資銀行やEUイノベーション基金が支援しているほか、アイスランドでは、官民のコンソシーアムが超臨界地熱に取り組み、2017年には超臨界状態で存在する地熱流体を世界で初めて確認している。またニュージーランド政府は、地域インフラ基金から最大60百万NZD(約48億円)を確保し、超臨界地熱技術の可能性を探るための投資に充てることを決定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10