検討会事務局では、まずピークシフトと太陽光余剰電力活用の2つの収益のみを前提として、業務・産業用蓄電システムの収益性を評価した。
試算の前提条件としては、蓄電システムのCAPEXは、2023年度補助事業のデータを基に、10.6万円/kWh(蓄電システム9.2万円/kWh+工事費1.4万円/kWh)と設定し、契約容量に対して太陽光容量50%(既設)・蓄電池容量20%(新設)、20年間稼働、と設定している。
この前提条件において、セグメント別に収益性を比較すると、相対的に「工場(昼間稼働)」のピークシフト収入・余剰電力活用収入が大きいものの、いずれのセグメントもIRRがマイナス値という試算結果であった。
「工場(昼間稼働)」セグメントにおいて、CAPEXを6万〜15万円/kWhに変化させて(他の前提条件は同じまま)収益性を比較したものが図7である。
業務・産業用蓄電システムの2030年度目標価格である6万円/kWhの場合は、IRRが1.8%となったが、9万円以上ではIRRがマイナス値であった。
以上の試算結果により、蓄電システムの代表的なユースケースであるピークシフトと太陽光余剰電力活用だけでは、十分な収益性を確保することは困難であることが明らかとなった。
今後は、停電回避や環境価値、供給力・調整力の提供など、複数のユースケースを組み合わせ、収益性を改善させることが重要となるため、次回の検討会において、新たな試算・評価を行う予定としている。
産業用太陽光発電のセキュリティ問題――その背景と発電システムの実態
太陽光発電へのサイバー攻撃で大規模停電は可能? 技術的脅威の実態と検証可能性
太陽光発電のセキュリティ対策 「モバイル閉域網の活用」が注目される理由とはCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10