LPガス業界の商慣行是正で新方針 事業者から賃貸オーナーの利益供与は原則禁止へ:第15回「液化石油ガス流通ワーキンググループ」(1/3 ページ)

一部の商習慣が問題視されているLPガス業界。「液化石油ガス流通ワーキンググループ(WG)」の第15回会合で、賃貸集合住宅などのオーナーなどに対する「正常な商慣習」を超えた経済的利益供与行為は一切認めない方針が示された。

» 2026年10月30日 07時00分 公開
[梅田あおば,スマートジャパン]

 LPガス(液化石油ガス)は日本の最終エネルギー消費の約4%を賄っており、国内需要(2024年度)約1,200万トンのうち、家庭業務用が約5割を占めている。近年、オール電化の普及などにより、LPガス需要家数は減少傾向にあるものの、2022年3月末時点における家庭需要家数は2,421万件、世帯数の36%を賄っている。

プロパンの輸入価格・卸売価格は中東情勢を受けて上昇しているため、LPガスの小売価格も2026年8月時点で985.6円/m3と上昇傾向にある(※10m3の場合。全国平均価格(基本料金、設備料金、消費税含む))。

図1.家庭用LPガスの小売価格などの推移 出典:石油情報センターを基に筆者作成

 これまでLPガス業界では、アパートオーナーなどに対する「無償貸与」や「貸付配管」といった商慣行が長らく続いており、これによりLPガスの消費者が不利益を被ることが問題視されてきた。このような商慣行は、消費者によるLPガスの自由な選択を妨げ、LPガス事業者の疲弊も招いてきた。

 このため、国はLPガス小売の適正化に向けて、液化石油ガス法(液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)に係る省令(施行規則)を2024年4月に改正した。また、改正施行規則の実効性を高めるため、「液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針」(ガイドライン)及び「運用・解釈通達」を2024年7月に改正した。

表1.液化石油ガス法における改正施行規則の概要(2024年4月公布) 出典:液化石油ガス流通WG

 改正省令では、「正常な商慣習を超えた利益供与」を制限しているが、具体的な基準が定められておらず、規制当局による指導・監督の実効性に課題を抱えているため、現在でも一部の事業者では、過大な営業行為が続けられている。

 「液化石油ガス流通ワーキンググループ(WG)」の第15回会合では、賃貸集合住宅などのオーナーなどに対する「正常な商慣習」を超えた経済的利益供与行為は一切認めない方針が示された。

「不透明な料金改定」への対応

 液化石油ガス法の第14条では、LPガス事業者が一般消費者などとLPガスの販売契約を締結したときは、取引条件などを示した書面(いわゆる14条書面)を遅滞なく交付することを義務付けている。また取引適正化指針では、14条書面を交付するときに、「価格の算定方法、算定基礎項目、その内容」について、料金改定の1か月前までに消費者への通知を行うことを定めているが、現時点、この説明が十分になされていないという指摘がある。

 また指針では、「消費者に対して値上げありきの安価なLPガス料金を提示すること」は問題になり得る行為として例示しており、その後の料金改定が十分な根拠や説明を伴わない場合には、契約獲得を目的とした利益供与と認識され得る。このため液石WGでは、指針を改定し、LPガス事業者から消費者に対し、料金改定理由を具体的に説明するよう求めることとした。

表2.料金改定理由の具体的な説明 出典:液化石油ガス流通WG
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