信念とは思い込み、思い込めば実現するセルフイメージで人生を変える(2/2 ページ)

» 2008年12月11日 10時17分 公開
[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]
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「会社は自分を搾取している」と思うほど、本当に搾取される

 会社員はよく「会社は自分を搾取している」とか「会社はエンジニアをこき使うだけだ」と言いますね。こう思っている人はどうなると思いますか。一生、搾り取られます。なぜなら、そう思っているからです。たとえ転職してもそうなります。なぜなら、次の会社でも「会社は搾取する」ととらえているからです。

 反対に「会社は自分の夢をかなえる舞台だ」という人もいます。これも信念です。こう思っている人はどうなるか。自分のやりたいことをどんどんやれて、業績につなげていけます。「会社は舞台」なんて言うと、最初は「何言ってるの?」と思われるのですが、だんだんと仕事を任せられるようになり、最終的に夢が実現します。

 ところが「会社で夢なんか語ろうものなら潰される」という信念だったら、黙って大人しく指示待ち人間になるか、「やっぱり夢をかなえたい」と思って仕事に取り組んでも、「ほら、やっぱりマネージャーが邪魔をする」ということが起こって、「潰された」で終わっちゃうんです。それは信念がそうだからです。

 目標設定が大事、計画が大事、時間管理が大事、ワークライフバランスが大事だなど、いろいろ言われています。

 確かに私も大事だと思いますが、信念の方がもっと大事です。

 「家族と仕事は両立はできない」という信念を持っていると、「ワークライフバランスが大事だよね」「両方できたらいいよね」とはいいながら、「ほら、やっぱりできない」というところを探すんです。そういう人に「あなたは本当に両立したいんですか?」と聞くと「したいです。でも、無理なんです。不可能ですよ」と言う。誰が無理だと言っているのかといったら、自分で言っているんですね。

 なぜこうなるかは理由があります。信念というテーブルがあるとすると、当然足がありますが、足が多いほど、この信念は安定してきます。例えば「私はダメだ」という信念を持っていたら、ダメな事実(足)をいっぱい探してきます。「昨日もあれを失敗した」「先週もあれをミスした」「これでダンナに怒られた」「これは友達で失敗した」……と、思い出せば思い出すほど「私はダメだ」という信念を強化してしまうのです。

信念とは思い込み、思い込みに基づく事実しか見えなくなる!?

 反対に「やればできる」という信念を持っている人は、「あの時もできた」ということをたくさん思い出します。「私はセクシーだ」という信念を持っていたら、「ほら、ほら、こんなにセクシーでしょ」という部分を言える。タレントとしても活動する叶姉妹は、明らかに「私達はセクシー」という信念を持っていますね。見ている人の中には、どうかなと思っている人もいるかもしれませんが、彼女達のセルフイメージは「セクシー」なはずなのです。

 ヘアメイクアーティストのIKKOさんも「私は美しい」というセルフイメージを持っているはずです。だから男性なのに、下手したら女性よりエレガントな仕草を見せるわけです。これは信念、セルフイメージの問題なんです。一旦信念を持ってしまうと、サポートをするような過去の事実をどんどん見つけてくるから変えられないのです。

 信念は、一言で表現すると「思い込み」です

 例えば「自分はバカだ」という人に、「なぜバカだと思うのですか」と質問すると、「高校受験に失敗したし、大学も行けなかったし、会社でもバカにされたし……」などと言います。ところが、「新聞は読める? これを漢字で書ける?」と聞くと、「できる」と答えます。つまり、思い込み以外の事実が全部切り捨てられているのです。

 もし私が「自分がバカだというけれど、それはあなたの思い込みですよ」と言ったとしても、「平本さん、それは違うんです。なぜなら……」と始まって、「私はこうなんです(だからバカなんです)」という例をどんどん上げていきます。自分の信念を支える事実を持ってくる。だから、抜けられません。

 「運は自分で引き寄せられるんですよ」と言ったとしても、「いや、そんなことないですよ。だって……」と続くわけです。「お金はトラブルの元だ」と言う人に、「いや、お金は儲かれば儲かるほど人を幸せにできるんですよ」と言っても、「いや、そんなことはないです。お金はトラブルの元です。なぜなら……」と続くんですね。周り人や聞いた話から始まって、「小学校の時にちょっと高いものを買って持って行ったら隣の子とけんかしちゃった」という話まで持ち出してくる。それはもう、どんどん出てきます。

 でも、こうしたネガティブな信念を変える方法はあります。それは次回、説明しましょう。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本あきお(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は、『すぐやる! すぐやめる!技術 ― 「先延ばし」と「プチ挫折」を100%撃退するメンタルトレーニング』。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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