自分の思い通りに仕事を進める――3つのポイント若手社員のうちに学びたい、「上司力」入門(2/3 ページ)

» 2012年12月27日 08時00分 公開
[吉田実,Business Media 誠]

極意その2:不要な仕事を捨てよ

 2つ目の極意は、実施しなくてもいい仕事を捨てることである。思い通りに仕事が進まない原因の1つに、仕事の量が多すぎて時間に追われているということが挙げられる。日々のトラブルシューティングに追われているような状況では、思い通りに仕事を進めるなんて不可能である。優先順位をつけて仕事をするだけでも不十分だ。大切なことは劣後順位をつけることである。つまり、やらないことを決めるということだ。

 一流の経営者やマネジャーの中には、飲み会の二次会に行くことをやめたとか、お酒を飲むことをやめたといったように、やらないことを決めた人が多い。マネジメントにおいても無駄な会議をやめたり、書類の作成をやめてしまったりしても成果が落ちないことは多い。むしろ、成果が上がることもある。劣後順位をつけるためには、明確な目的意識が必要である。例えば、業績と部下育成という2つの目的意識を持つならば、この2つに関係のない仕事をどんどん捨てるべきである。

極意その3:自分の人生を生きることを決めよ

 3つ目の極意は、自分の人生を、自分がコントロールして生きることを決めることである。GEの元CEOのジャック・ウェルチは「Control your destiny, or someone else will.(自分の運命は自分でコントロールすべきだ。さもないと、誰かにコントロールされてしまう)」という言葉を残している。

 「組織や人にコントロールされる人生なんてまっぴらだ。自分の人生は自分でコントロールしたい」と決めた瞬間に、人生が変わる。それは会社を辞めるということではない。組織にいながらにしても、全ての選択は自己責任のもとで行っている事実を受け入れることに他ならない。自分の人生を生きることを決めている人は、目の輝きが違う。研修においても、2日間の研修であっても、初日の朝と2日目の終了時で、全く目の輝きが違う人がいる。その人は2日間の研修の中で、何かを決めた人である。決めることから、その後の人生が変わりだすのだ。

第一線に居続けるという面白さ

 「管理職になると責任が増えて、辛いだけでは?」と聞かれることがある。確かにそのような見方もあるだろう。しかしながら、役職が上がるほど影響を与える範囲が広がることも意味する。私自身、約3年半前に社長という立場になり、確かに責任の範囲が大きくなり、プレッシャーは大きくなった。ただ、今、仕事を面白いと思えているのは、自分が世の中や会社に貢献していることを実感できているからである。

 現在所属しているシェイクという会社が3人であった時、当時のメンバーと会社を大きくすべきかどうかを話し合った。組織を大きくすれば、マネジメントなどに苦労することも多くなる中で、本当に組織を拡大する必要があるのか、真剣に悩んだときがあった。その時に出したのは「本当にやりたいことであるならば、その影響力を大きくしたいというのは自然なこと。自分たちが、世の中に貢献するために仕事をするならば、組織を大きくすべきだ」という結論だ。

 確かに、人の上に立つということは責任が伴う。ただ、それだけ人と一緒に大きなことに挑戦する喜びを感じることもできる。うまくいかないこともある。ただ、山あり谷ありで、喜びや悲しみもある彩豊かな人生は楽しい。

 上司力を磨き、楽しむ極意を実践し、自分の人生をコントロールし、周囲の人がついてくる状態になったならば、職場の第一線で思い通りに思いっ切り仕事ができる。社会や周囲に対して貢献することができる。それはこの上ない喜びである。第一線に立つということは辛いことではない。楽しいものである。楽しむためにも、楽しむことができる自分づくりをすることが何よりも重要なのだ。

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