4年連続の赤字だったアイドルフェス 「@JAM」の仕掛け人は、いかにして黒字化させたのか?アイドルプロデューサーの「敗北、信念、復活、成功」【後編】(2/5 ページ)

» 2021年09月23日 15時54分 公開
[柳澤昭浩ITmedia]
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1000万円の経費カット

――1000万円の経費カット。具体的には、どのように見直したのですか?

 全体の経費を削るために、いわゆる物理的な経費削減と、リスクヘッジの二方向で考えました。

 物理的な経費の節減としては、土曜日と日曜日がフェスの本番日だったとき、金曜日に別のアーティストのコンサートと共有できるものを持ち合いました。例えば、0からステージを作ると経費が多く掛かりますね。でもステージの土台や照明などの共有を打診することによって、ある程度の経費を削減できます。これは、同じ会社内で制作していたために融通が利いた部分もありました。

 他にも、それまで私の思いだけでやっていたステージの数を減らすなど、可能なところはコストカットしました。

――リスクヘッジについてはどんな工夫をしましたか?

 例えば自社のみでフェスをやり1000万円の赤字が出たとすると、その1000万円全額を負担しなくてはいけませんね。そこにパートナーを加えることで、リスクを軽減させることができます。もちろん儲(もう)かった場合のリターンも減りますけどね。

 いろいろと検討して未来を見据えた結果、日本テレビ、キョードー東京、レコチョクという頼もしい三社を加えて委員会方式に変えました。

 特に日本テレビさんが入ったことによってプロモーション効果も大きくなり、メディアだからこそ実現できる企画もできましたし、キャスティングもサポートしてくれました。結果、フェスとしてのブランディングも上がり、全体として非常にプラスになった形です。

――5年目にして大改革に取り組んだのですね。では14年からの3年間は毎年赤字で、その間には全く見直しはしなかったんですか?

 もちろん見直しはしていましたが、大々的にメスを入れることはありませんでした。このフェスの目標として、フジテレビさんがやっているTOKYO IDOL FESTIVALがあって、いまだに規模も内容もかないません。TOKYO IDOL FESTIVALは格上のフェスではあるものの、同じ夏に開催し、肩を並べるフェスと見られていた@JAMなので、規模縮小はできないと感じていました。

 TOKYO IDOL FESTIVALでやっていることは、最低限@JAMでもやらなくてはと。信念とか思いとか、そういうものを優先していたんだろうと思います。

――18年から見直して取り組んだ結果は?

 当然のことながら物理的な経費を削り、社長からも指摘を受けていた経費を削り、これまでと同様の動員数であれば、その時点で黒字が出ることは確定していました。かつ、日本テレビさんなどのパートナーが入ってくれたおかげでプロモーション効果も大きくなり、集客も増え、リスクも抑え、フェスとしての利益は出た形になります。ただその分、利益も分配しますから、大きな利益にはなっていないものの、初めて赤字にはならなかったということです。

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