新春インタビュー2002 >>
関連リンク

ロータス 安田誠社長 「Notesの先進性は次世代にも輝きを失わない」

ロータスがIBMによって買収されたのは1995年だから,以来,実に6年をかけて,製品,技術,組織の統合が進んでいる。昨年秋には社名もロータスデベロップメントからロータスソフトウェアに変更され,今後はIBMが抱えるブランドの1つとして残ることとなった。しかし,かつてレイ・オジーが世に送り出したNotesの先進性は,IBMのポートフォリオの中でも輝き続けると安田誠社長は話す。

ZDNet 昨年は「ナレッジマネジメントの年」という印象がありました。振り返っていただけませんか。

NotesのエンジンとコンテントはWebサービスでも生かせるになる,と安田社長
安田 昨年はNotes/Dominoの次期メジャーアップグレード「Rnext」が今年に控えているため,どちらかというと関連製品をプロモーションする1年でした。Notes/Dominoのユーザーベースを広げつつ,ナレッジマネジメント(KM)製品やインスタントメッセージング(IM)製品のアップセル(買い増し)を獲得しようということでした。

 また,ナレッジポータルサーバであるK-stationの販売を昨年2月から開始しましたが,WebSphere Portal Serverと連携を図るなど,IBMのポートフォリオの中にロータスの製品や技術を組み込んでいく年でもありました。

ZDNet KM製品に対する顧客の反応や手ごたえはいかがでしたか。

安田 仕事の情報はすべてデジタルになっています。ドキュメントもそうですし,電子メールもそうですね。先日,リコーから話をうかがったのですが,Notes/Dominoが管理しているストレージは,業務のシステムに比べ,2ケタ多いんだそうです。こうしたマスストレージから効率的に必要な情報を探し出す技術は不可欠です。

 検索エンジンもそうした役割を担うわけですが,ロータスのKMでは,「人」から知識にたどりつくことができるのが大きな特徴です。

ZDNet KMの市場は大きく広がっていますか。

安田 ユーザーからは「探しやすくなったね」という声をいただき,浸透してきていると思います。しかし,キーワードとしてのKMは理解されたけれど,「情報が見つかった。次はどうする?」という話になると,まだこれからでしょう。「経理システムで集計はできた。じゃあ,経営へどうフィードバックする? ほかの部署とどう情報を共有する?」というのと同じです。経理システムとERPシステムは違うわけです。

 ロータスとしても,KMに関する普遍的な事例をつくることができていません。道具立てとスキルは,実際に試しながらでないと分からないことがたくさんあります。カッターナイフで木は切れないし,ノコギリで鉛筆は削れません。

 たくさんナレッジが蓄積されているので,KMで使い勝手を良くしましょう,というところから提案できますが,その先は経営の手法しだいになります。

ZDNet 今年,Rnextがいよいよ登場しますが,Notes/Dominoはどのように進化していくのでしょうか。

安田 国内で1000万ユーザー,世界では8000万ユーザーに達し,機能レベルでマーケティングするには難しいほど,成熟してきました。先ずは,顧客の要求もあって,高い可用性や信頼性を追求していくことになると思います。

 また,コンピューティングはクライアント/サーバからしだいにWebサービスに移行していくはずです。Notes/DomionのエンジンやコンテントをWebサービスでも生かせるようにしなければいけません。IBMのポートフォリオに移行し,WebSphere Portal Serverから機能を呼び出せるようになるでしょう。

次のページ

[聞き手:浅井英二 ,ITmedia]