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» 2005年12月09日 19時51分 UPDATE

7分で分かる11月のBlog界 (1/2)

11月に飛び交ったブログ情報には、世情を反映したもの、ブログサービスの行方を考えさせるもの、多様性に模索する事情を感じ取れるものが多かった。1カ月の情報をザッピングしていこう。

[森川拓男,ITmedia]

 ブログは表現を行うための“ツール”だ。自由に発言するための手段が悪用された場合、マスメディアは新たなテクノロジーを責める傾向にある。ケータイの電磁波でのがん問題など、これだけの普及が進んだ今、かき消されてしまったものの1つだろう。

 10月下旬から11月初旬にかけて、「ブログ」がTVの報道ニュースでキーワードとして飛び交った。

 母親にタリウムを飲ませたとして殺人未遂容疑で逮捕された女子高生の事件は、衰弱した母親の容体などをブログに書いていたという。ブログ上では男性のように振る舞っていた彼女は、淡々と母親のことを語っていた。

 インターネットでは、簡単に情報発信することができる。その中でも現在、ブログは最も簡単なツールといえるだろう。自らの身近なことを書く人もいれば、評論をする人、そして自分の作った作品を公開する人までさまざまだ。

事件とブログの影響

 今回の事件について、ブログとの関連性をもう少し掘り下げてみよう。

 彼女は警察の調べに対し、ブログは創作を交えて書いた供述が11月10日に判明している。自分が書いたが、現実と空想を交えて書いた、というのだ。その一方で彼女は、自らのPC内に保存した文書には、母親の正確な観察記録も保存していた。いわば、ブログに公開する前の素材といえるのだろうか。

 タリウム購入は「実験に使う」とし、効果や致死量などについても正確に把握していた女子高生。その動機など、実際のところはまだ不明だが、「ブログ」がこのような形でマスメディアに報じられたのは微妙な感じがする。ほとんどのTVニュースでは、「ブログという日記」と紹介しており、やはり日本では日記サービスが普及していたことと、多くのユーザーが事実上、日記を書いていることからそのような紹介になったのだろう。

 しかし、彼女のそれは自分を「僕」と呼称して男子になりきって書いていたものだった。実はブログでは、自分の素の部分を表現する人がいる一方で、このように別人のように振る舞う傾向も多く見られる。この点にも着目し、一部の報道では別人格を作りやすい環境がブログにはあるのではないか? という指摘もあった。

 ブログは過渡期を迎えている。12月5日にはニフティが眞鍋かをりを委員長にして「ブログ普及委員会」を発足(関連記事)、これもまたメディアに露出することで、ブログがよりいっそう一般化しようとする現象の一つだろう。その中でこの事件のような取り上げられ方が増えてしまうのか、それともこれはレアなケースなのか。今後、注目していきたい。

 それでは、dev blog/CMSで日々報じてきたブログニュースを総括していこう。

機能拡張は誰のためにあるのか

 各ベンダーがブログサービスを開始し、もはやサービスインに関しては飽和状態となった感がある。あらゆるサービスがブログを一つの機能として公開するようにもなっている。そして、その多くは無料サービスだ。一部に有料サービスもあるが、多くのユーザーは、無料で使える高機能なものを求める傾向がある。対価を支払ってでも高機能を……、というユーザーは少数派であり、無料でありながら大容量、高機能というブログサービスがあるがため、感覚がまひしているのかもしれない。

 この背景から考えれば、「大掛かりな機能拡張を行う」というサービスが出てきても不思議ではない。その試みがスムーズに進めば問題はないが、大掛かりになるほどリスクの可能性が生じる。

 11月17日に速報で報じた「BIGLOBE」のブログサービス「ウェブリブログ」がそうだ(関連記事)。22日にメンテナンスを行い、ディスク容量のGバイト化などを実施することになっていたが、そのメンテナンスの影響で、画像が表示されないなどの障害が発生した(関連リンク)。同社による最初のおわびは翌23日14時ごろに掲載された。しかし、実際の復旧作業完了は12月5日の22時半ごろまで要した(関連リンク)。およそ2週間、異常事態が続いたことになる。ただし、その障害の間にもサービス利用は可能だったため、一部の画像復旧に当たって今回の障害によるものか、ユーザー自身の画像編集などによるものか不明な点もあり、混乱を避ける意味で個別のメール対応となっている。

 機能を拡張するはずが、トラブルを招いてしまう。これでは本末転倒だが、日々増大していくユーザーの要望に応えていく中ではやむを得ないのだろうか。それとも、ユーザーの要望が激しすぎるのか。増え続けるブログサービスの中で、ユーザー囲い込み策としては、高機能を売りにしていく必要があるのだろうが、その前にしっかり使えるサービスを提供してほしいとユーザーは願っているはずだ。

 ニフティのブログサービス「ココログ」は11月1日、ディスク容量の大容量化を実施、全プランでGバイトに対応した(関連記事)。今回の修正で、ベーシックは2Gバイト、プラスは5Gバイト、プロは10Gバイトへとそれぞれ増量されている。

 NTTレゾナントのブログサービス「gooブログ」は、11月9日に画像フォルダの参照制限を実施(関連記事)。他社ブログからgooブログが提供する画像フォルダを利用して画像表示するブロガーが増大したことにより、他社サービスから画像のみの参照ができないように対策を実施した。これにより、サーバパフォーマンスの低下を招く一因を解消し、gooブログが安定して提供可能となるという。

 NTTデータ提供のブログサービス「Doblog」は11月18日、Doblog内で頻発しているトラックバックスパム対策の目処が立ったとして、3つの機能の導入予定をスタッフブログ上で発表した(関連記事)。そして、11月30日から12月1日にかけてメンテナンスを実施し、対応している(関連記事)

 これ以外にも、多くのブログサービスは頻繁にメンテナンスを行い、トラブル対応をし続けている。それも、機能を追加するなど、大幅なメンテナンスの後に、緊急メンテナンスを行うことも多い。これでは、ユーザーがブログを更新しようとした時にできない、ということもあり得るだろう。そのような背景で、日本オラクルのデータベースがMovable Type対応を果たし、企業で利用されているOracle Databaseを利用できることがサービスの安定性へとつながるか、興味があるところだ(関連記事)。しかし、今回の発表ではインターネットサービスへの対応を目的としているわけではない。

ニフティが完全無料のブログサービス提供へ

 ニフティは11月24日、新たにブログサービス「ココログ」のフリー版で@nifty会員以外でも利用可能な「ココログフリー」の提供を開始した(関連記事)。機能的には、現行のベーシック、プラス、プロよりも上回る部分があるが、広告が強制的に挿入される仕組みになっている。

 しかし、今回の新サービスにはユーザーからの不満が寄せられた。それを受けてニフティの古河社長が自身のココログで状況を説明、謝罪するという事態も起きているほどだ(関連記事)。不満点は既存サービスのレスポンスの悪さと、ココログフリーが既存の有料版よりも高機能な点。これでユーザーが納得するかどうかは、今後の対応にかかっているといえるだろう。注目だ。

 また、新しいサービスではないが、GMOインターネットが提供するブログサービス「ヤプログ」は11月15日にリニューアルを実施、正式版としてスタートした(関連記事)。同時に、ゴマブックス協賛による「ヤプログ!出版コンテスト」のエントリー受付けも開始している。

ポッドキャスティングが1つの波だが……

 ポッドキャスト、ビデオポッドキャストといった言葉が花盛りだ。ISDNからADSL、そして光へとインフラは変わり、通信速度が高速になるにつれてインターネット上でのストリーミングが流行ってくる背景がある。

 そしてブログ界においても同じだ。当初、基本はテキストだけだったブログは、写真などの画像が掲載できるようになった。そして、ケータイで画像が送信できるようになって飛躍的に増加し、「モブログ」がブログの一大スタンダードにもなってきた。さらにケータイで動画も扱えるようになったことで、一気に動画配信まで進もうとしている。各ブログサービス、ブログツールも対応に追われているのが現状だ。11月だけで次のようなサービスが開始されている。

 11月19日には、ビデオポッドキャスティングに対応したサーバサイドのブログツール「a-Blog v1.4」がリリースされた(関連記事)

 11月21日には、北海道をテーマとするブログサービス「チャンネル北国tv」は、ポッドキャスティングおよびビデオポッドキャスティングへの対応を開始している(関連記事)

 さらに、11月28日にはサーバサイドのブログツール「P_BLOG」がポッドキャスティングとビデオポッドキャスティングに対応したバージョン1.1のβテストを開始した(関連記事)

 ポッドキャスティングに対応した無料ブログサービス「らじろぐ」は11月28日、標準機能としてチャット(β版)を新たに搭載した(関連記事)

 Jストリームは、ポッドキャストのポータルサイト「castella(キャステラ)」を11月30日にプレオープンしている(関連記事)

 ユニークなものでは、11月4日にコアカラーズがイギリス拠点の音楽エージェントであるトーリューモンと提携し、キャラクターチャットサービス「タグふれんず」で、ストリーミングの音楽アイテム販売を開始している(関連記事)

 しかし、このようにポッドキャスティングサービスが充実していく中、その音源はいったい誰のものなのか? という意識を高める必要があるだろう(関連記事)。自分が録音、録画したものであっても、他人の権利を侵害するなどの可能性もあるからだ。ポッドキャスティングを発信する側も、受信する側も、いま一度考えてみなくてはならないだろう。

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