情報系システムを自社運用からSaaSに移行する動きが出始めている中、ディップはSaaSで運用していたシステムをパッケージソフトに移行した。カスタマイズやオプションの追加を考えた場合、SaaSよりも安価に運用できると試算した。
総合求人情報サイト運営のディップは、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)を使って運用していた情報共有システムをパッケージソフトに切り替えた。初期投資の費用を削減できるのがSaaSの特徴だが、独自のカスタマイズやほかのシステムとの連携がしにくいなど弱点もある。ディップは、SaaSに比べて運用コストを削減できると判断し、パッケージソフトに切り替えた。システムを提供したアリエル・ネットワークが5月12日に発表した。
新たに導入したのはWebコラボレーションソフトの「ArielAirOne Enterprise」。企業内の情報を管理できる独自のポータル機能を持つ。社内で使っているグループウェアやCRM(顧客関係管理)のシステムとArielAirOne Enterpriseのデータを連携し、業務情報を一元管理できるようになった。情報を別々のシステムで二重管理したり、業務の重複を解消したりできたという。
パッケージソフトを使うことで、コスト削減にも寄与する。ディップは企業規模の拡大とともに、独自の業務要件に沿ったカスタマイズや社内のほかのシステムとの連携などでコストが余計に掛かると判断。SaaSで運用する場合に比べて約70%の運用費用を減らせると試算し、ArielAirOne Enterpriseを採用した。今後は部門や利用者ごとに必要な情報を提供する仕組みやモバイル端末から情報共有のシステムを使える仕組みを構築していくという。
SaaSはハードウェアの調達や初期投資、システム導入後の運用保守が不要になるなど、低コストで情報システムを構築できるサービスとして注目を集めている。だが大規模の企業が導入する場合、カスタマイズやオプションの追加などで余分なコストが掛かる場合もある。
情報系システムをSaaSに移行する事例が出始めているなど、情報システムを「利用」する動きが出ているが、企業の規模や業務プロセス、長期間の運用などを考えた場合、SaaSがコスト削減に寄与しないケースもあることが浮き彫りになった格好だ。
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