勝ち残る企業のWebプロモーション

進化を遂げてきたウィジェット浮上するもう1つの企業メディア(2/2 ページ)

» 2009年10月21日 08時00分 公開
[竹下直孝,ITmedia]
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国内で先行するブログパーツ

 国内におけるウィジェット活用は、CGM(ユーザー参加型メディア)を駆使した口コミプロモーションに注目が集まったこともあり、SNSやブログ上で展開できる「Web張り付け型」が主流となった。中でも代表的なウィジェットがブログパーツだ。個人ブログとも連携でき、ブロガーやWebの利用者にも幅広く普及している。企業のマーケティングにおいても、多数の成功事例が存在するのがブログパーツだ。

(図4)ファーストリテイリングのUNICLOCK (図4)ファーストリテイリングは、世界時計とダンス動画を組み合わせた斬新なブログパーツ「UNICLOCK」を打ち出し、「カンヌ国際広告祭」など世界の三大広告祭のインターネット部門でグランプリを総なめにした。ブログパーツの総閲覧数は世界214カ国で3億3千万ページビュー以上(2009年8月31日時点)、ブログパーツの設置数は93カ国で7万4000個以上に上る

 ここでブログパーツの提供数、利用者数の推移を見てみよう。ブログパーツ関連の情報を集めたポータルサイト「ブログパーツ.com」を運営するアイオイクスの発表(図5)によると、ブログパーツの利用者数やページビューは2007年の10月ごろに急激な伸びを見せ、月間の利用者数が10万人、ページビューが100万を超えた。2008年末には、15万ユーザー/150万ページビューまで数字を伸ばしており、現在も堅調に実績を維持している。

ブログパーツの利用者数/ページビューの推移 (図5)ブログパーツの利用者数/ページビューの推移(出典:アイオイクス)
企業ウィジェットの増加傾向 (図6)企業ウィジェットの増加傾向

 ブログパーツ.comに登録されたブログパーツの数は、2007年1〜3月にかけて170件だった。その内企業が提供しているブログパーツや約3割。つまり月間約20個のブログパーツが企業から提供されていた試算になる。2008年10〜12月には新規登録数は329件に上り、企業のブログパーツはその内の9割を占めた。企業によるブログパーツの提供は2年で約5倍になり、現在は月間約100個が新たに提供されている。数あるウィジェットの中でも、ブログパーツはいち早く普及期を迎えた(図6)。

 ブログパーツ市場が拡大した要因は、企業がウィジェットを数多く提供したことにある。作り込まれた良質な「企業ウィジェット」は、ブロガーやWebを利用する人の興味を引いた。このように、利用者と企業の間にある「ブログパーツの需要と供給の均衡」が保たれていることが、同市場の発展を後押ししている。

 ウィジェットの拡大の鍵を握っているのは企業である。企業がウィジェットに対して積極的に投資し、さまざまなウィジェットを提供していけば、利用者数のパイも大きくなる。企業がウィジェットをマーケティングツールとして使うためには、企業側が率先して市場の拡大を推し進めていくことが求められる。

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著者プロフィール:竹下直孝(たけしたなおたか)

竹下直孝(たけしたなおたか)

2001年にソニーに入社。2005年に社内の有志数人で「新しいネットメディアの開発」をコンセプトに、ウィジェットサービス「FLO:Q(フローク)」プロジェクトを発足。現在、サービス全体で約20万人の登録会員を抱えるサービスに育て上げた。最近では新たなウィジェットのプラットフォームとしてmixiを活用した「mixiアプリ」をリリースしている。


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