はっきりした目的を持ってデータ活用に取り組め

ビッグデータ活用に成功している企業とそうでない企業の差異はどこにあるのか。日本IBMのビッグデータ&DWH製品営業部トップに話を聞いた。

» 2013年03月12日 08時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

 昨年来、活況を呈している「ビッグデータ」市場。それに伴い、ベンダー各社は競い合って次々と新たな一手を打ち出している。

 日本IBMの中でビッグデータソリューションを推進する中心的な部門である、同社 インフォメーション・マネジメント(IM)事業部 ビッグデータ&DWH製品営業部 部長の法華津誠氏にビジネス戦略などを聞いた。


システム運用に苦しむIT部門

――現在、日本企業のビッグデータに対する反応をどのように見ていますか。

 このキーワードが登場したころよりはインパクトは小さくなっています。ただ、変わっていないのは、企業がいざビッグデータをどうするかと考えたときに、なかなか手を動かすことができないのが現状です。一言にビッグデータといっても、いろいろなデータがあります。役に立たない、正確性に乏しいデータも存在します。それらをどう扱っていくかというのは難しい問題です。また、現在、IT部門はシステムの保守、運用に手一杯で、ビッグデータに触れる余裕がない企業が多いのです。

 そこで、日本IBMとしては、IT部門のそうした悩みから解放してあげるとともに、まだビッグデータを始めてない顧客にさまざまな提案をしていく必要があります。

――そうした中で、IM事業部が注力するポイントを教えてください。

日本IBM IM事業部 ビッグデータ&DWH製品営業部 部長の法華津誠氏 日本IBM IM事業部 ビッグデータ&DWH製品営業部 部長の法華津誠氏

 1つは、主力製品であるデータベースプラットフォーム「IBM PureData System」です。用途別に、データ分析アプライアンス「PureData System for Analytics」、データベースプラットフォーム「IBM PureData System for Transactions」、オペレーショナル分析のワークロード用に最適化された「IBM PureData System for Operational Analytics」の3種類を用意しています。これらの垂直統合型システムを活用するとともに、Hadoopやストリーミングなどの製品群を組み合わせるのがIBMのビッグデータソリューションです。

 for Analyticsは、Netezzaの技術を引き継いでおり、これまでにも120社以上のユーザーがいました。PureDataとして一新されたことで、さらに顧客の関心は高まっています。アプライアンス製品なので、多種多様なデータを抱えていて、それに価値を見出している企業であれば、規模や業種を問わず容易に導入できるのが特徴です。特に少人数でIT業務を内製化している企業は、PureSystemsによって運用を効率化できるため大きな価値が生まれるでしょう。人数が少ない企業であればあるほど、システムの運用や保守といった後ろ向きの作業に時間をかけたくないからです。

 for Transactionsやfor Operational Analyticsも既に数社が検討しており、引き合いは強いです。特に、メインフレームからダウンサイジングし、オープンシステムへの移行を図る企業であれば、for Transactionsは最適な製品だと考えています。

 また、昨年に買収したVivisimoの技術がベースとなっている「IBM Infosphere Data Explorer」もビッグデータのソリューションとして顧客の関心が高く、例えば、大手自動車メーカーのマツダなどで採用されています。これは、データ形式や保管場所を問わず、企業に散在するデータを自動検索して1つのポータル画面に可視化することで、社内データがどのようにつながっているのかを把握できるソフトウェア製品です。

 多くの企業では、情報のオーナーはバラバラで、IT部門はどんな情報があるかを理解していても、それらがどうつながるかは分かりません。同製品によって素早く社内の全データを探し出し、基幹システムの情報も、CRM(顧客情報管理)システムの情報も、PDFの情報もすべての1つのページ上でつなげることができるようになります。なお、マツダの具体的な事例については、4月に開催する「Information On Demand Conference Japan 2013」でも紹介する予定です。

データがもたらす効果を信じているかどうか

――ビッグデータ活用に成功している企業とそうでない企業の違いを教えてください。

 うまくいっている企業は、データに対する価値を理解し、明確な目的を持ってデータ活用しています。「これをやるためにはビッグデータを分析しなければならない。だから投資をするのだ」といった考え方を持っています。

 そうした企業は、データサイエンティストのような分析スタッフを中心に、ビッグデータ活用を進めています。このような人材が社内にいる企業だと、データを見て、何をすれば、どのような成果が出るということを経営トップに話ができるため、意思決定は早いですね。

――各社さまざまなビッグデータソリューションを提供しています。IBMならではの強みは何でしょうか。

 インフラ、データベース、データウェアハウス(DWH)、分析ツールなど、目的別にビッグデータの製品ラインアップをそろえているのが強みです。また、それぞれの製品間の連携もシームレスに行うことが可能であるため、ワンストップでより効率的なデータ活用ができます。

 また、研究機関であるIBM Researchから生み出された知識やノウハウを使って、最先端の製品を開発できるのも、IBMならではの強さだと言えるでしょう。

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