三菱自動車、車両生産計画シミュレーションのデータベースをSQL Serverで刷新導入事例

三菱自動車工業は、車両生産計画シミュレーションを行うデータベースに、「Microsoft SQL Server 2008 R2」を採用した。

» 2013年07月04日 16時17分 公開
[ITmedia]

 三菱自動車工業は、同社の自動車生産における部品管理および生産計画の立案を行うシステムのデータベースとして、日本マイクロソフトの「Microsoft SQL Server 2008 R2」を導入した。日本マイクロソフトが7月4日、発表した。

 三菱自動車は、2009年に「生産計画シミュレーター」を自社で構築。自動車生産に必要な部品の在庫数や供給能力をベースに生産計画をシミュレーションし、生産工場とサプライヤーに最新の動向を迅速に伝えて、需給調整業務全体の精度を向上させることに取り組んできた。

 しかし、生産拠点や部品点数の増大などに伴い、システムのパワー不足が課題となっていた。そこで2010年より、同システムのデータベースの部分をパッケージ製品に置き換えることを検討し、処理性能の高さや直感的で分かりやすいレポートツール、拡張性に優れたプラットフォームであることなどを評価し、「Microsoft SQL Server 2008 R2」を採用した。

 2012年7月に稼働を開始した新しい「生産計画シミュレーター」は、データサイズが約32テラバイトの巨大なデータベースで、1回につき最大40万台分の車両の生産計画シミュレーションを実行する。1回のシミュレーションに、旧システムでは4時間以上かかったのに対して、新システムでは約15分で処理が完了できる。これにより、会議中に出た意見や仮説に基づいてその場で再試算するなど、急な変更に柔軟に対応し、より精度の高い生産計画を立てることが可能になった。

 これまで調達に時間のかかる輸入部品は、在庫を多めに保有していたのに対して、新システムによって部品在庫の状況をより短い時間で確認して生産計画を調整できるようになったことで、2カ月分の保有在庫が半減するなど、製造業の重要課題である在庫削減にも大きな効果があったという。

 三菱自動車の生産管理本部 生産計画部 部長 豊國真也氏は、「生産計画部では、世界各国の営業現場が取りまとめた受注に対して、最終生産までの一貫したシーケンス(生産の序列計画)を作成している。Microsoft SQL Serverを活用した新しい『生産計画シミュレーター』により、製作所やサプライヤーへの部品情報伝達が迅速化した。生産計画確定前に部品のアベイラビリティを確認・事前調整したうえで生産計画を作成することが可能となり、コスト・納期面でよりバランスの取れた生産計画の作成が行える」とコメントしている。

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