毎週3分、情シスドリル コレ1枚で分かる「IoTで変わるモノの本質」即席!3分で分かるITトレンド(1/2 ページ)

これからのビジネスや社会に向けて活用が過熱化しているといわれるIoT。この機にIoTでの新たなビジネス展開を、と考えている方もいることでしょう。そんなとき、3分立ち止まって押えておきたいポイント「IoTで変わるモノの価値」を紹介しょう。これで名案が浮かぶこと請け合い!

» 2015年06月29日 11時00分 公開

この連載は

 カップ麺を待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう!

今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスのみなさんのこんな課題を解決します。


 「最近、IoT(Internet of Things)っていう言葉をよく聞くけど、うちでも何かできないのか?」

 社長から突然、IT部門や技術部門にこんな指令が下って、「さぁ、どうしたものか」と頭を抱えている担当者もいるのではないでしょうか。

 「モノにセンサーが組み込まれていて、ネットワークにつながるのは分かる。でも、それで何が変わるのか、どんなビジネスができるのかと言われても……」

 本音はそんなところにありそうです。

IoTで変わるモノの価値

 IoTがもたらす変化の本質は、モノの価値の所在が大きく変わることです。

 かつてはモノの価値は、ハードウェアの機能や性能によって規定されました。自動車の性能、ラジオの感度、工作機械の操作性といった特徴は、ハードウェアをどう作るかに委ねられていたのです。

 その後、モノにソフトウェアが組み込みまれ、性能や機能を規定する重要な要素になってきました。例えば最近のデジタルカメラの露出やピント、絞り、シャッタースピード、カラー調整は、そこに組み込まれたソフトウェアによって実現されています。

 これらはかつて、ハードウェアのメカニズムやフィルムなどのハードウェアによって実現されるものでした。もちろん、ハードウェアは今でも重要な要件ではありますが、モノの構成要素の一部となり、付加価値の1つとして考えられるようになってきたのです。モノの価値に占めるソフトウェアの機能や性能の比重は、ますます大きくなっています。

 ただ、ここまでは、1つのモノに閉じた世界の話です。IoTは、こういったモノをネットワークにつなげることで、価値の本質をサービスへとシフトさせようとしているのです。

コレ1枚で分かるIoTで変わるモノの本質

 例えば、昨今のテレビについて考えてみましょう。機能や操作性を改善するためにテレビを買い換える必要はなく、組み込まれているソフトウェアを放送電波を介して更新できるようになっています。デジタルカメラも、インターネットにつないでソフトウェアを更新すれば、連写機能を向上させたり、アートフィルタの種類を増やしたりと、買ったときよりも高機能になります。

 また、米国の電気自動車テスラのモデルS/Dシリーズには、自動運転機能が組み込まれています。今は法律上の規制もあって完全な自動運転はできませんが、いずれはソフトウェアを更新すれば自律走行できるようになるということです。

 このようにソフトウェアによって機能するモノは、ネットワークにつながることで、購入した後も継続的に価値を向上し続けられるのです。そして、「ものづくり」は、モノを1個の製品として完成させることではなく、使い続けてもらうことを前提に考えていく姿勢が求められるようになってきています。

 例えば、AppleのiPodが爆発的に売れたのは、iTunes Music Storeというサービスがあったからです。それ以前にも同様の製品としてソニーのウォークマンが存在していました。しかし、iPodが瞬く間にその人気を越えて大きなシェアを獲得したのは、“モノ(iPod)とサービス(音楽配信サービス)を一体のものとして考えた価値”を生み出したからにほかなりません。

 iPodに続いて登場したiPhoneは、そこに導入されたソフトウェアのおかげでカメラにもなり、地図にもなり、懐中電灯にもなります。そして、インターネットを介してそれぞれのソフトウェアをアップデートすることで、操作性や機能を改善し続けることができます。さらにそれらは、デバイスが保有するデータを利用して、ナビーゲーションや写真共有サービス、SNSといったサービスを実現しています。

 テレビやデジタルカメラ、電気自動車のテスラ、そしてiPodやiPadの例から分かるように、モノがネットにつながることで、モノの価値は“モノそのもの”だけではなく、“サービスと一体となって”規定されるようになったのです。ハードウェアからソフトウェアへとシフトしてきたモノの価値は、IoTの普及とともにサービスへとシフトしてきたことになります。IoTでビジネスを考えるには、この価値のシフトを前提としなければなりません。

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