「IoT」で変わる、ITインフラの“理想形”と“現実解”

IoTで空港はどう変わる? 6つの実験でJALが気付いたこと新たな「おもてなし」の姿を探る(2/4 ページ)

» 2016年03月24日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

Beacon搭載の車いすやベビーカー、IoT活用で業務効率化

photo JALは各空港で車椅子とベビーカーの貸し出しサービスを行っている

 人間の位置を把握することで得られる効果を確認したことから、同社は2015年10月、Beaconの設置範囲を車いすとベビーカーにまで広げた実証実験を実施した。羽田空港にある車いすとベビーカー約200台、スタッフが使うトランシーバー約90台にBeaconを取り付け、それぞれの位置をPCやスマートフォンで一覧できるようにしたのだ。

 JALでは、各空港で車椅子とベビーカーの貸し出しサービスを行っている。従来は所定の場所に車いすやベビーカーの在庫がなくなった際、スタッフが探して回っていたという。機材の場所が分かるとどれだけスタッフの業務が変わるのか、これを検証するのが実験の目的だった。

photo Jibe Mobileが開発した位置管理ソリューション「Blu-trail」を活用し、スタッフと車いす、ベビーカーの位置をスマートフォンやPCで把握できるようにした

 従業員に行ったアンケート調査でも、90%超のスタッフが在庫切れで困った経験があり、80%超のスタッフがトランシーバーでのやりとりに不便さを感じていたという。業務の改善点がはっきりしていたことから「時間の節約になった」「お客さまを待たせることがなくなった」「トランシーバーでもやりとりが減って助かった」など、実証実験への反応はおおむね良かったという。

 一方で「車いすやベビーカーが使用中かどうか分かるようにしてほしい」「利用予約ができるといい」「スタッフの位置が分かるのは便利だが、トイレに行くときに恥ずかしさがある」といった改善を求める声もスタッフから上がってきた。こうした実験を行う前には、ユースケースの設定とともに、期待される効果について仮説を立ててはいるものの「実験後のユーザーの感想からは必ずと言っていいほど、新たな発見が出てくる」(小磯さん)そうだ。

photo 実験の結果、参加したスタッフからさまざまな意見が寄せられた

 ウェアラブル端末の可能性を模索するJALだが、そこから得られるデータはもちろん位置情報だけではない。身体情報を活用した実験も数多く行っている。

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