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» 2018年05月17日 16時30分 公開

生活習慣病の発症リスクを予測するAI 実用化に向け、NTTが保険会社と無償トライアル

NTTデータとNTTが、生活習慣病の発症リスクを予測するAI技術を開発。基になる健診データが少ない場合も、高精度に予測できるという。実用化に向けた検証を行うため、無償トライアルに賛同する保険会社の募集を開始した。

[金澤雅子,ITmedia]

 NTTデータと日本電信電話(NTT)は2018年5月16日、NTTのAI関連技術「corevo」の1つとして「生活習慣病の発症リスク予測技術」を開発し、保険業界での活用に向けて、無償トライアルに賛同する保険会社を募集すると発表した。トライアルを通して、保険商品の開発や加入時の査定、加入後の健康改善などにおける同技術の有効性を検証する。

 保険会社は、加入者が将来に疾病を発症するリスクを算出する際、健診データやレセプトデータを基にする。従来の分析では、継続受診していないことで抜け漏れがあるデータや、一定期間のみの受診データ、希少な疾病の発症を扱う少量のサンプルデータしかない場合などは、データ分析の精度に課題があった。

 今回NTTは、不均質や希少なデータでも高精度に分析できる手法を確立し、健康診断で得られたデータ(健診データ)を基に、将来の生活習慣病の発症確率の予測を実現する技術を開発。

 この技術を活用することで、保険会社は、加入者の疾病発症リスクを算出する際に、多量の健診データやレセプトデータを入手する必要がなくなる。また、改正個人情報保護法で規定された“要配慮個人情報”への対応が不要になる(各個人の発症リスクを予測する場合を除く)という。

Photo データ保有期間の短い未発症者のデータも用いたランキング学習

 生活習慣病の発症リスク予測技術では、データ保有期間の短い未発症者のデータも用いたランキング学習を行い、健診データを基に生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質異常症)の発症リスクを予測する技術を確立。

 同技術を、NTTデータが提供するヘルスデータバンクの一部利用団体における健診データ分析事業(約10万人×最長6年分)に適用したところ、高い予測精度が得られることを確認した。例えば、糖尿病の発症しやすさの予測では、順位を評価する指標である「ケンドールの順位相関係数」で0.81を達成した。これは、発症に至りやすい個人を9割の正解率で見分けられることを意味するという。

Photo トライアルの流れ

 保険会社とのトライアルは、発症リスク予測技術を試用するための環境をNTTデータが提供。検証を希望する複数の保険会社と、技術の有効性を検証する。

 トライアルの申し込み期間は、2018年6月末まで。受付後に、保険会社とNTTデータで検証計画を刷り合わせた上で、保険会社の準備する検証用データをNTTデータで預かり、同技術を適用し、予測結果を保険会社に返却する。予測結果に基づき、技術の有効性や導入へ向けた課題などを保険会社とともに検証していく。

 トライアル後は、検証結果やニーズを踏まえ、発症リスク予測の対象疾病を拡大することも視野に研究を進める。2018年度中に保険会社向けサービスを開始する計画だ。また、糖尿病の発症後の重症化予防についても研究を進めるとしている。

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保険 | 生活習慣病 | 糖尿病 | NTTデータ


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