インタビュー
» 2018年08月02日 09時00分 公開

データサイエンティスト不足に悩んだ「LIFULL」 突破のカギは、機械学習の自動化 (1/4)

データは増え続けているのに、それを分析する人手が足りない――。そんな企業は少なくないだろう。住宅情報サイトを運営するLIFULLも、データ分析チームに依頼が殺到し、困っていた。彼らはどのようにしてこの苦境を乗り越えたのだろうか。

[大内孝子,ITmedia]

 AIやIoTなどのトレンドもあり、企業内でデータを分析し、活用しようという機運は高まり続けている。しかし、その意気とは裏腹に、分析を行う人間のリソースは全く追い付いていないのが現状だ。いわゆる「データサイエンティスト」は世界的に不足しており、企業間で熾烈(しれつ)な争奪戦が行われている。

 データは増え続けているのに、それを分析できない――この需要と供給のギャップに悩む企業は少なくない。住宅・不動産ポータルサイトの「LIFULL HOME'S」を手掛けるLIFULLもそんな1社だった。

 同社が扱うデータの量は膨大だ。これまで紙ベースでやりとりしていたような、不動産や住宅の情報をデジタル化するのは手がかかる。日々変わっていく空き物件の情報に追従するのはもちろん、物件ごとに価格情報から室内の写真まで、多岐にわたるデータがひも付いているためだ。

 当然、機械学習の活用も早くから進めており、マーケティングオートメーションのツールを内製したり、周辺地域や過去のデータから物件の予想価格を算出するサービスを開発したりしていた。ユーザーからの問い合わせ数など、社内の主要KPIを予測するモデルも作成していたという。

photo 周辺地域や過去のデータから物件の予想価格を算出するサービス「プライスマップ」

全社のAI化を進める「AI推進ユニット」を新設、しかし……

photo LIFULL 新UX開発部 AI推進ユニット長 林信宏さん

 その後、機械学習を活用する機運が高まるとともに、社内業務やサービスのAI化を進める部署「AI推進ユニット」を2017年4月に新設した。3人のデータサイエンティストを抱える専門家集団であったものの、なかなか業務がうまく回らなかった。全社から要望が殺到していたためだ。

 「いくつかの部署で機械学習を活用したサービスをリリースしていたので、どうしても要望が増え、タスクが完全に詰まっていたんです。着手できる時期すら明言できないほどでした。どうしても、3人のデータサイエンティストへの負荷が大きくなってしまうため、それを改善する方法を探していました」(同社 新UX開発部 AI推進ユニット長 林信宏さん)

 一言で機械学習を導入するといっても、業務やサービスの状況や内容を調べ、予測モデルを作るだけでも相当の時間がかかる。予測モデルを作るアルゴリズムもいくつもあるため、一つ一つ検討してテストを行っていると、すぐに時間は過ぎてしまう。失敗する可能性も高く、“宝探し”的な側面もある。

 「1つのプロジェクトで予測モデルを作るまで、大体、1〜2カ月ほどかかっていました。それでうまくいけばいいですが、失敗してしまえば、また一から予測モデルを作り直すことになります」とデータサイエンティストの一人である椎橋怜史さんは振り返る。

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