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TW500に迫るコントラスト感と色バランス――プロジェクター「TW200H」レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style(4/4 ページ)

» 2004年10月08日 16時37分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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入力端子の少なさが不満点

 画質面では大きく進化したTW200Hだが、TW200で要望がありながら変更されなかった部分もいくつかある。

 まずファンノイズ。高出力ランプを利用するだけあって、ファンノイズはやや大きめだ。実際には周波数帯が低めで不快な印象が少ないため、実際の数値(ランプモード低で28dB)よりは静かに感じる。ランプ出力低(sRGB、ナチュラル、シアター)では、さほど気にならないだろう。しかし、ランプ出力の大きなモードではやや騒々しくなる。

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 デジタル入力端子がない点も、今後のハイビジョン放送の増加、次世代光ディスクコンテンツの登場などを見据えてみた時、こだわるユーザーなら不満を感じるだろう。もちろん表示そのものはコンポーネント入力やD4入力から行える。しかし、デジタル映像出力を備える製品も増加しつつある中では、HDMIもしくはHDCP対応DVI-D端子の搭載を望む声もあるだろう。

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 また、細かな点だがリモコンのカーソルキーが小さく、離れているために、メニュー操作がやりにくい点も全機種から変わっていない。リモコンのボタン表記が英語という点も、使いにくく感じるユーザーがいると考えられる。

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 とはいえ、練り込まれた絵作りは破綻が無く、様々な映像ソースで不満の少ない映像を見せてくれる。松下電器のTH-AE700は、濃度の濃い赤、青、黄、緑がコッテリとした印象を与え、そこまでの階調が滑らかという印象だった。しかし、本機はコッテリでも、あっさりでもなく、シャドウを極端に強調するわけでもなく、適度な色濃度と中間前後の階調の良さが印象的。主張が少なく、どんな映像にも合いそうだ。

 本機に置いても、AE700の時と同じく赤が印象的なムーランルージュ、青とスピルバーグ独特の柔らかな風景描写が美しいマイノリティレポート、明暗差が大きく黒い衣装の描写が微妙なマトリックスレボリューションズ、明るいシーンでの独特の空気感があるめぐり逢う時間たちの4本を試したが、いずれも大きな破綻がなかった。明るい背景と黒い服の登場人物、といったシチュエーションでも、シャドウのディテールがきちんと判別できる上、背景部分はきちんと眩しさを感じるコントラスト感の良さがある。

 入力端子の少なさはネックだが、それを差し引いても魅力的な1台であることは間違いない。自分自身で画質を追い込めるユーザーならば、前機種との違いはあまりないかもしれないが、それでもプリセットの優秀さは邪魔にならない。基礎がしっかりしているだけに、その後の調整もやりやすいのだ。まさに“熟成の1台”である。

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