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» 2013年03月29日 02時00分 UPDATE

「安易な撤退は選ばない」、パナソニックが中期経営計画を発表

パナソニックが新中期経営計画を発表した。プラズマパネル生産やテレビ事業そのものからの撤退を予想した報道が多い中、登壇した津賀一宏社長は「事業を継続しながら赤字をなくす」と宣言した。

[芹澤隆徳,ITmedia]
ts_crossvalue01.jpg パナソニックの津賀一宏社長

 パナソニックは3月28日、2013年度の事業方針と2015年度までの新中期経営計画を発表した。プラズマパネル生産やテレビ事業そのものからの撤退を予想した報道が多い中、発表会に登壇した津賀一宏社長はそれを否定。「事業を継続しながら赤字をなくす」と宣言した。「単に撤退すれば確かに赤字は消えるが、安直な選択肢はとらない。赤字の垂れ流しをやめる」(津賀氏)。

 同社が発表した中期経営計画では、2015年度に営業利益3500億円、キャッシュフロー6000億円(3年間累計)という目標を掲げている。そのために、2014年度までに構造改革を行い、それに伴う「赤字事業の“止血”」を完遂するという。

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 構造改革ではまず、4月1日から事業部制を復活させ、現在88あるビジネスユニットを49事業部に再編する。「作った人が売り方まで考え、売るところまで見届ける」体制を作り、各事業部が「営業利益率5%以上」に向けた収益改善に取り組むという。と同時に、より大きな括りとなる「アプライアンス社」 「エコソリューションズ社」「AVCネットワークス社」 「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社」の4社からなるカンパニー制を導入し、事業部をサポートする。

 赤字の“止血”については、テレビ、半導体、携帯電話、回路基板、光事業(ドライブ、ピックアップ)といった現在赤字になっている事業に対して、構造改革費用として2013〜2014年度に約2500億円を投じ、B to CからB to Bへの転換や、他社との協業を含む効率化を図る。テレビでは、「重点市場の絞り込み」と「非テレビ展開の加速」を挙げている。

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 また、今回は初めてテレビ事業の連結収支を開示し、内容を明らかにしている。これによると、2011年度には2100億円の赤字を計上したが、パネル構造改革やセット固定費削減、販促費抑制などにより、2012年度は860億円まで赤字を圧縮できる見通しだという。「セット事業(テレビ生産・販売)だけなら黒字化もみえてきたが、パネルと流通を含めると様相が変わる。この中期での赤字解消を大きな決意で進める」。初めてテレビ事業の収支を開示したのも、その意思表示だという。

 赤字対策に続く2つめとして重点施策として挙げたのは、「脱・自前主義」による成長と効率化。例えば医療関係事業では、パナソニックヘルスケアに外部資本を導入し、より医療業界に近く、ノウハウを持つパートナーとともに事業を展開する方針だ。具体的なパートナー候補などは明らかにしなかったが、4月から社長直轄プロジェクトとして推進する。また物流関連事業では、パナソニックロジスティクス株の過半数を日本通運に譲渡することで3月28日に基本合意した。

デジタルコンシューマー依存からの脱却

 テレビ事業に関する先行き不透明感を払拭した一方、同社はテレビを含む「家電製品への依存脱却」も目標の1つに据えている。津賀氏は「2013 International CES」のオープニング基調講演で紹介した「パナソニックの目指す姿」を改めて示し、B to Bを中心として“空間”に対するソリューションビジネスにシフトしていく方向性を打ち出した。

 例えば自動車という空間では、自動車産業を相手に車載事業を展開する。住宅という空間なら、住宅産業に対して同社が持つ「家電のDNA」を生かした新しい価値を提案していく。例えば、壁と一体化する「ウォールビジョン」や、建材一体型の照明といった“家電の壁化”が考えられるという。津賀氏は、この2つの空間を2018年に「2兆円事業」へと拡大する考えを示した。

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 あわせて、デバイス事業に対する考え方を大きく転換する。「これまでは、PDPに代表されるようにB to C事業を起点とする垂直統合が基本だった。今後は強いコアデバイスをお客様のニーズに応じてカスタマイズし、あらゆる空間で広くソリューション展開することを基本戦略とする」。

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 津賀氏はまた、「デバイスは自前にこだわる」とも話す。「ボリュームゾーンで進化させる必要がなければ、そのデバイス(の自前生産)は捨てる。例えば太陽光発電は、屋根に載せるだけでは進化が止まり、後は安くなって普及すれば終わりだ。しかし、例えば自動車に付けるとか、壁に付けるといった発展シナリオがあれば話は違う。これを目指さなければならない」。

 LED照明であれば、室内照明のほかにも車のヘッドライトや可視光通信との組み合わせなど、多彩な応用が考えられる。ディスプレイもテレビだけではなく、デジタルサイネージや車載用ヘッドアップディスプレイなどあらゆる場所に展開する。自社の持つ“強いデバイス”を生かし、より大きな価値を生み出すことがテーマだ。

 新しい中期計画のキーワードは、「CROSS-VALUE INNOVATION」。今後3年間、パナソニックグループの経営スローガンになるという。「事業部制による自主責任経営、カンバニーによる大きな事業戦略と、この“CROSS-VALUE INNOVATION”が真に機能することで、パナソニックは世界に類のないユニークな会社として、力強く復活できると考えている」(津賀氏)。

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