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東芝がテレビ・PC事業の構造改革を発表、機種数を抑えて“集中”

» 2013年07月26日 18時01分 公開
[ITmedia]

 東芝は7月26日、テレビ事業とPC事業を含む「デジタルプロダクツ事業」の損益改善に向け、構造改革を実施すると発表した。新興国市場へのさらなる注力に加え、機種数の削減や人員の再配置などでコストを圧縮。2013年度下期の黒字化を目指す。

 同社は昨年、設計開発機能の青梅事業所への集約、テレビの国内アフターサービス拠点の集約といった構造改革を実施したが、アナログ停波後の国内テレビ市場の縮小や欧州経済の低迷、円安などの要因が重なり、テレビ事業は2期連続の赤字を計上した。また、スマートフォンやタブレットとの競合によるPC需要の減少など、PC事業を取り巻く環境も厳しさを増している。

 構造改革の柱は、「利益創出に向けた集中と選択の実施」と「軽量経営体質の再構築」。テレビ事業では、ASEANなどの新興国市場へ人員を含めて注力し、新興国市場の売上比率を2012年度の約3割から約4割へと引き上げる方針だ。

テレビは機種数を大幅に削減

 製品面では、4Kテレビなど大型かつ高付加価値商品のグローバル展開や販売地域に合わせた仕様の「ローカルフィット商品」といった従来からの取り組みを継続する一方、デジタルサイネージ市場やホテル/病院向けなどのB to B事業を強化する。また「グラスレス3Dテレビ」技術の医療分野への応用など、幅広い事業領域を生かした部門間連携にも取り組む。

 液晶テレビはプラットフォーム数と機種数の削減を図り、注力機種の拡販に向けて各種リソースを再配分する。2012年度に14あったプラットフォームは9に、機種数は昨年の115機種から67機種と半分近くまで絞り込むという。これに伴い、グローバル生産委託先を従来の1/3に削減してコストを削減。生産から流通に至るオペレーションフローの改善により、在庫/物流コストの圧縮にも取り組む。

レグザの現行モデル「Z8Xシリーズ」(左)と「J7シリーズ」(右)

 人員の再配置も実施する。国内でテレビやPCに関わる従業員数の約20%に相当する設計開発・営業スタッフなど400名を、今年度中に同社が力を入れている社会インフラ事業などへ配置転換する。社内組織も2011年に導入した地域別事業部体制を見直し、テレビなどの映像事業を所管する「ビジュアルソリューション事業部」、B to C向けPCやタブレットなどを所管する「パーソナルソリューション事業部」、B to B事業の「ビジネスソリューション事業部」という3事業部制にする。

 東芝では、「今回決定した施策は今年度実施を計画している構造改革の一部。今後も生産や国内外販売体制の見直しなども含め、聖域を設けずに、さらなる構造改革を策定・実施していく」としている。

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