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NHK、長寿命で低コストなリン光有機ELデバイスを開発

» 2014年09月11日 21時30分 公開
[ITmedia]

 NHKは、リン光材料を使った有機ELデバイスの長寿命化と低コスト化を実現する技術の開発に成功した。超薄型で軽量なフレキシブルディスプレイの実用化に向け、大きく前進したという。研究成果は、9月17日から開催される「第75回応用物理学会学術講演会」で報告する。

 有機ELデバイスの中で光を発する発光層は、ホスト材料とその中に分布する発光材料で構成され、ホスト材料は電気エネルギーを発光材料に受け渡す役割を担っている。通常、発光材料にはイリジウムなどの希少金属を含む有機金属化合物を用いるため、材料費が高く、デバイスの低コスト化が大きな課題だったという。



 今回、電気エネルギーを受け渡しやすいホスト材料を新たに用いることで、極めて少ない量の発光材料で長寿命な緑色のリン光有機ELデバイスを実現。従来のホスト材料で寿命を長くするためには発光材料量を6%以上にする必要があったが、新しいホスト材料では発光材料量1%でも従来の7倍程度の寿命が得られたという。また発光材料を大幅に低減できるため、デバイスの低コスト化も期待できる。


 NHKでは、「今後は赤色および青色発光のリン光有機ELデバイスについても同様の検討を進め、高効率・長寿命なフレキシブルディスプレイの早期実用化を目指す」としている。

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