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知らないジャンルも聴いてみたくなる! おすすめハイレゾ対応システムとハイレゾ楽曲麻倉怜士のデジタル閻魔帳(2/2 ページ)

» 2014年12月16日 15時04分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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麻倉氏: 室内では、主に2つの手法があります。1つはPCに保存している音源をUSB端子から出力し、外付けDACやアンプを通して聴く方法。もう1つはPCやNASなどに保存した音源をネットワーク経由で専用プレーヤーから再生する方法です。良いアンプやスピーカーを持っている人ならプレーヤーを追加すればいいだけです。

 近年はこれら専用記機の機能を一般的なオーディオ機器に取り込む動きもあり、ハイレゾ再生機器の裾野が広がっています。AVアンプがUSB-DAC機能を持ったり、イーサネット端子とネットワークオーディオ再生機能を付けたりしていますね。最近では2chのアンプにUSB-DACを入れる動きも顕在化していて、接続や操作もかなり楽になってきました。中にはスピーカーにDACやアンプを入れ、シンプルはハイレゾ対応アクティブスピーカーとなっているケースもありますね。

――こちらもおすすめ機種を教えてください。

麻倉氏: 一体型スピーカーですと、エクリプス(富士通テン)の「TD-M1」が良いでしょう。最大192kHz/24bit対応のDACとデジタルアンプを内蔵していて、十分に入門用として使えます。ただ、こうした一体型の場合、将来的にグレードアップを考えたときに拡張の余地が少ないのも事実です。

エクリプス(富士通テン)の「TD-M1」。実売価格は13万円台半ば

 その点、単体DACなら例えば新しいフォーマットが登場したときも1台だけ買い替えることができます。DACではコルグの「DS-DAC-100」がいいですね。とくにDSD再生に強く、最初から5.6MHzまで対応しています。安定していてワイドレンジ感も高い。コルグは「AudioGate」というソフトを提供していて、相性は抜群です。

 DACと組み合わせる単体アンプでは、デノンの「PMA-1500RE」(税別12万円)が実売10万円を切っていますが、質実剛健で安定性の高いアンプだと思います。またDAC内蔵のプリメインアンプですと、オラソニック(東和電子)の“NANOCOMPO”「NANO-UA1a」が価格も手ごろ(税別8万円)でおすすめですね。

デノンの「PMA-1500RE」

麻倉氏: スピーカーは、KEFの「Q300」やELACの「BS72」といったブックシェルフ型が良いでしょう。KEFは英国の伝統あるスピーカーメーカーで、「Q300」はダイナミックレンジが広くクリアな音が特徴です。1本3万円前後と決して高級機のたぐいではありませんが、何より音がいい。一方のELACはドイツのメーカーで技術水準が高く、音の感性も素晴らしい。「BS72」もエントリー機に近い位置づけですが、音に透明感があって密度感もあります。KEFとはまた違った良さですね。あと、推薦する人はあまり多くないと思いますが、パイオニアの「S-CN301」というモデルは国産では珍しく密度の高い音すると私は太鼓判を押します。

パイオニアの「S-CN301」

麻倉氏: ユニークなところでは、SACDプレーヤーにUSB-DAC機能を付けた製品もあります。デノンの「DCD-1500RE」(税別12万円)は、192kHz/24bitと5.6MHzまでのDSDを入力できます。CDやSACDもたくさん持っている人には使い勝手のよい製品でしょう。

デノンの「DCD-1500RE」

――ハイレゾ音源を聞き出すと、自分の趣味とは違う楽曲も聴いてみたくなります。「これぞハイレゾ!」といえそうなオススメ楽曲はありますでしょうか。

レディー・ガガとトニー・ベネットの「チーク・トゥ・チーク」

麻倉氏: そうですね。レディー・ガガとトニー・ベネットの「チーク・トゥ・チーク」はいいですよ。ジャズとPOPSを融合させ、すごくエネルギー感とパンチのある音です。ヌケが良い音は立派です。

 高岡早紀の「君待てども ~I'm waiting for you~」も素晴らしいです。「君待てども」は1948年に平野愛子さんが歌った戦後を代表するヒット曲で、ジャズ・シンガーのナンシー梅木さんが英語でカバーしたものを、さらに高岡さんがカバーしました。もとはアイドル歌手で現在は女優として活躍している高岡さんですが、実家はジャズクラブを経営していて、このアルバムでピアノを担当しているジャズピアニストの山下洋輔さんとは家族ぐるみの付き合いだそうですよ。音はしっとりとしていて、まるでベッドタイムミュージックのような大人の色気が漂います。

 クリスマスソングでは、ルネ・フレミングの「ニューヨークのクリスマス」を挙げておきましょう。ルネ・フレミングは、メトロポリタンオペラの大歌手。クリス・ボッティーなどと共演しており、都会的でジャジーでお洒落なクリスマスアルバムです。

――ちょっと意外な選曲でした。もっと古典的なジャズやクラシックになると思っていましたが……

麻倉氏: そうですね。古典的なジャズやクラシックを聴いてみたい場合は、e-onkyo musicで販売している「ハイレゾ・コンピ」がオススメです。「ハイレゾで聴くブルーノート」にはマイルス・デイビスの名曲「枯れ葉」(Autumn Leaves by Cannonball Adderley with Miles Davis)など良い曲がたくさん収録されていますし、「ハイレゾで聴くオーケストラ」には映画「スターウォーズ」のテーマも入っています。5曲で1000円ですから、これはオススメですね。

コストパフォーマンスの高い「ハイレゾ・コンピ」シリーズ。「ハイレゾで聴くブルーノート」(左)と「ハイレゾで聴くオーケストラ」(右)はどちらも5曲入りで1000円

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