インタビュー
» 2016年11月14日 06時00分 UPDATE

“早すぎた”VR機「バーチャルボーイ」の思い出をレトロゲームマニアが語る (1/2)

任天堂の「早すぎたマシン」は、1995年当時、どのような扱いを受けていたのだろうか。

[村上万純,ITmedia]

 10月に「PlayStation VR」が発売されたが、視界を覆うヘッドマウントディスプレイを見て、かつて任天堂が開発した“とある3Dゲーム機”を思い出した人も少なくないようだ。

 そのゲーム機とは、1995年に発売された「バーチャルボーイ」。テーブルにスタンドを立て、真っ赤なゴーグル型のボディーで立体映像を楽しむ、任天堂の意欲的な家庭用ゲームマシンだ。

バーチャルボーイ バーチャルボーイ

 任天堂の故・岩田聡さん自身、「バーチャルボーイは、商業的にいえば、失敗したと思います」と語ったように、ハード自体の普及はPlayStation(1994年)やセガサターン(1994年)などの高性能なライバル機には及ばなかった。

 筆者は1995年当時は7歳だったが、PlayStationとゲームセンターを往復する生活だったので、バーチャルボーイの存在自体を知らなかった。バーチャルボーイは、赤と黒で表現された奥行きのある画面でゲームを楽しむもので、モノクロでニンテンドー3DSを立体視しているような体験といえば分かりやすいだろうか。PlayStation VRのように、視界全体が映像で覆われたり、モーショントラッキング機能を備えていたりするわけではない。しかし、今改めて遊んでみると、1995年にこんなものが登場していたのかと驚く。

コントローラー バーチャルボーイのコントローラー。バッテリーボックスに単三乾電池6本をセットする

 「リアルタイムでバーチャルボーイを触ってきた人の衝撃は、それの比ではないだろう」ということで、大学時代にバーチャルボーイで遊んでいたという榎戸利光さんに当時の思い出を語ってもらった。

榎戸さん レトロゲームマニアの榎戸利光さんとバーチャルボーイ
榎戸さん宅 榎戸さんの自宅。レトロゲームが所狭しと並ぶ

 ちなみに、榎戸さんは20種以上のハードと5610以上のタイトルを自宅にそろえる生粋のレトロゲームマニア。ブラウン管2台でゲームセンターさながらの環境を再現したアーケード版「ダライアス2」や、バンダイの「光速船」(元は米GCEのVectrex)など、マニア垂ぜんのコレクションも記事後半で紹介していきたい。

3Dの感動と衝撃、冷たかった世間の反応

 実家がゲームセンターであった榎戸さんは、子供の頃からゲームが大好きだったという。「大学時代は寮生活で、6畳一間の貧乏学生だった」と言うが、部屋の中にはファミコン、スーパーファミコン、PlayStation、セガサターン、PCエンジンDuo、ネオジオなど、10種以上のハードが所狭しと並んでいた。バーチャルボーイも当然欲しかったが、当時の価格で1万5000円(税別)となかなか高価だった。

 しかし、とある中古屋で「ソフト5本付きで4500円」という破格の値段で投げ売りされていたため、すぐに購入したという。榎戸さんは「大学内でも相当変わった人たちしか持っていませんでしたね(笑)。それなら、PlayStationやセガサターンを買うよって人がほとんどです」と、当時を振り返る。「正直、世間の反応は冷たく、ゲーム雑誌や漫画でも扱いがひどかった不遇でふびんなハードでした」と話すが、榎戸さん自身は「初めて触ったときは衝撃的で、感動した」という。

バーチャルボーイ 初めてプレイしたときは衝撃的だったという榎戸さん

 「赤黒のみのグラフィックとはいえ、1995年当時での3Dは衝撃的。ワイヤーフレームもしっかりしていて、何より赤いハードというのがお気に入りです。こんなものを形にしたのかと、任天堂のチャレンジ精神に感動したのを覚えています」と興奮気味に語ってくれ、「欲を言えばカラーにしてほしかったのと、ゲームボーイみたいに通信ケーブルで対戦できるようにしてほしかったです。予定はあったらしいのですが廃止になってしまいました」と続けた。購入前も、遊び始めてからも、「早すぎたマシン」という印象は変わらなかったという。

バーチャルボーイの思い出

 バーチャルボーイとの思い出を振り返ってもらった。まずは一番身近な寮生活。榎戸さんの部屋にはみんながゲームをしにきたが、バーチャルボーイは1人でしか楽しめないのがネックだった。「例えば部屋に3人いるなら、2人がPlayStationをやって、余った1人が待ち時間にバーチャルボーイ、みたいな感じでした(笑)」と振り返る。

 また、榎戸さんはとあるイベントでバーチャルボーイの対戦会を開催したこともある。2台のバーチャルボーイを並べ、ゲーム終了後のスコアを競った。「イベントは、狙い通り盛り上がりませんでしたね。でも、中にはプレイしながら自分で実況する猛者もいました」と、榎戸さんは笑顔を見せる。PlayStation VRのように、観客たちはプレイ画面を共有できないため、今ゲーム展開がどうなっているのか全く把握できないからだ。今どちらが優勢なのか、どんなプレイをしているのか、全く分からない。ひたすらシュールなプレイ姿をみんなで見ている。想像すると、それはそれですごく楽しそうだ。

バーチャルボーイ バーチャルボーイをプレイする榎戸さん。プレイ姿がシュールなのが特徴だ
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