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JOLEDが印刷方式による有機ELパネル量産に向け資金調達か 「当社の発表ではない」

» 2017年10月04日 23時24分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 JOLED(ジェイオーレッド)が印刷方式での有機ELパネル量産にメドをつけ、設備投資のために1000億円規模の資金調達に乗り出したと10月4日付けの新聞各紙が伝えた。

ジャパンディスプレイの能美工場

 日本経済新聞は、JOLEDが2019年にも独自方式による有機ELパネルの量産を開始する方針で、テレビ向け有機ELパネルを最大4割安くできるとした。また産経新聞や日刊工業新聞はJOLEDが印刷方式による有機ELパネルの量産に向け、1000億円規模の増資を検討していると報じた。ジャパンディスプレイの能美工場(石川県)を譲り受け、有機ELパネルの量産ラインを構築するとしている。

 印刷方式は、有機ELパネル(発光層)の成膜工程に印刷技術を用いる製造方法。生産工程がシンプルなため、製造コストを抑えながら多様な画面サイズへの展開が容易になる。もともとパナソニックが実用化を目指していたが、2015年1月にパナソニックとソニーの有機EL技術を引き継ぐ形でJOLEDが発足。以来、JOLEDとパナソニックが共同開発を進め、2017年4月には医療用モニターなどを想定した中型有機ELパネル(21.6インチ4K有機EL)のサンプル出荷にこぎつけた。

RGB印刷方式の概要

 JOLEDの広報担当者は報道について「当社の発表ではない。計画通り、印刷方式による中型パネルの量産体制確立に向け、設備投資のための資金調達は検討しているが、決定したことはない」と話す。またJOLEDを子会社化する予定のジャパンディスプレイ(現在はJOLED株式の15%を保有)も「今回の報道についてお伝えできることはない」というコメントを発表した。

 ジャパンディスプレイは12月下旬にJOLEDを子会社化する予定だが、自社の構造改革やグローパルパートナーシップの締結を優先するため、6月にJOLED株式の取得予定日(=子会社化完了)を「未定」に改めた。一方、8月に発表した中期経営計画では、構造改革の一環として5.5世代(マザーガラス1300×1500ミリ)のLTPS液晶製造ラインのある能美工場を12月に生産停止し、「JOLEDによる活用を検討する」としている。

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