QWERTYキーボード携帯電話が新たなブームに

» 2004年09月06日 12時07分 公開
[IDG Japan]
IDG

 食うか食われるかのスマートフォン市場で、140年前から続くキーボードデザインが新たな波を形成しつつある。

 今秋、QWERTY配列のフルキーボードを備えた携帯電話が、従来型の携帯電話と激しい競争を繰り広げることになる。この火付け役となったのは、現在Amazon.comサイトで携帯電話売れ筋ランク12位に付けているpalmOneの「Treo 600」。これに、Danger、Hewlett-Packard(HP)、Motorola、Nokia、Sierra Wireless、ソニーなどが続いている。

 なぜ今、QWERTYキーボードなのか? モバイルユーザーは、数列のキーパッドを使ったテキストメッセージの入力に不満を感じていると話している。これを解決するのがQWERTYキーボードだ。

 Treo 600のユーザーで、バージニア州に本拠に置くDROdio.com Realtyの創設者兼公認不動産仲介人、ダニエル・ルーベン・オディオ−ペズ氏は、「電話をかける代わりにテキストメッセージで連絡を取るようになった。音声メッセージを使わない方が簡単だからだ」と語る。

 「Treoのキーボードに関して1つ注文をつけるならば、電話のロックの仕方だ。ロックを外すのに2回もボタンを押さなくてはならない。もっと簡単な方法があるはずだ」と同氏。

 イリノイ州シカゴのCentral DuPage病院の副社長兼CIO(情報統括責任者)、デイブ・プリンツ氏はTreo 600のデザインを非常に気に入っており、Palmの手書き認識技術「Graffiti」による入力よりもキーボードの使用を好んでいる。「つい最近Treoを携えてハワイに行ったのだが、どこにいても病院と連絡が取ることができた。素晴らしい製品だ」と同氏は話している。

機は熟した

 ビジネスチャンスに目を光らせる競合企業は、続々とTreoの後発製品を投入している。カナダのSierra Wirelessの「Voq」は、12キーのダイアルパッドを横開きにするとQWERTYキーボードの半分が、本体下部にもう半分が現れる。通話中でもキーボードを入力してメモを保管することが可能で、これはMicrosoftの「Windows Smartphone」プラットフォームが持つ独特の特徴となっている。Voqのもう1つの特徴は、例えば電話帳に登録された名前を表示するなどキーボード入力を予測できる点だ。

 QWERTYキーボード搭載スマートフォンは独創性に富んだなものが多い。HPの新製品「iPaq 6315」は現時点で、本体下部に装着する着脱式キーパッドを備えた(装着すると本体に若干厚みが出る)唯一のWindows Smartphone製品。

 認可申請中で、携帯電話事業者T-Mobile USAが販売予定の Dangerの「Sidekick II」は、数百種のJavaアプリケーションを走らせる。このデバイスではボタンが追加・再調整され、写真撮影からゲームに至るタスクが簡単に行える。

 どのキーボードもタッチタイピングをするには不十分だが、いずれにしても顧客はキーボードをタイプできることを喜ぶだろう。「データの使用が頻繁になるほど、キーボードがデータ入力装置として求められるようになる」とHPのパーソナルシステム部門の統合型デバイス担当マーケティングマネジャー、ジョン・ブランデウィー氏は話している。

 “統合型デバイス”という呼び名は、すべてのガジェットが1つの先端機器に統合されるという過去の誤ったイメージを想起させるかもしれないが、原始的なQWERTYキーボードの統合は、確かに、昔使っていたPDAを手放すユーザーが出るほど魅力的なようだ。Research in Motion(RIM)の「BlackBerry」シリーズの多くのモデルや、QWERTY配列のフルキーボードを備えた初期のPDAも今や携帯電話として機能するようになった。Amazonの家電販売担当副社長、フランク・サドウスキ氏によれば、現在「BlackBerry 7230」はAmazon.comで売れ筋商品14位の携帯電話となっている。

 典型的なQWERTキーボード対応スマートフォンは、200ドル〜400ドルの価格帯に属する。ただしこれはほとんど、キャリアと長期のサービス契約を結ぶ必要がある。QWERTY配列のフルキーボードを装備していないスマートフォンの価格帯はさまざまだが、多くはキーボード付きよりも安価に設定されている。

 最新型QWERTYキーボード搭載電話は、通常、それぞれ1社のキャリアから提供されている。例えばVoqはオランダで販売されており、米国ではAT&T Wireless Servicesのネットワークで動作保証されているが、製品はまだ発売されていない。

QWERTYの先は

 また携帯電話機メーカーは、QWERTキーボードよりも少ないが一般的な12キーのキーパッド以上のキーを備えたデザインを試している。WebマガジンEngadgetが報じたところによると、RIMはコードネームで「Chart」と呼ばれる、従来よりもスリムで携帯電話ライクなBlackBerryのバージョンを計画しているという。各キーにアルファベット2文字が割り当てられ、ユーザーが入力するとどちらの文字かが予測表示される。

 Engadgetの編集者ピーター・ロハス氏は「私なら使わないだろう」と言う。だが業界観測筋の多くは、今後メーカー各社は、大ヒット商品を目指して、携帯電話に搭載するさまざまなキーボードを模索し続けるだろうと見ている。

 新型スマートフォンは人々に新しい習慣をもたらすことにもなる。これらの電話で無線通信を使用する人々は、スイッチを頻繁に切って電力を節約する習慣を付けなければならない。あるいは、携帯電話利用が禁止されている場所ではエチケットを守ることが求められる。Windows Smartphoneでは、こうした行為を「フライトモード」にすると言う。

 それでは、電話機能を持たないローエンドのPDAはどうなるのか? こうしたデバイスの売上は数カ月に渡って減少しており、またソニーをはじめとするメーカーが米国市場から撤退している。QWERTY携帯電話の人気がこの傾向を加速させるかもしれない。

 In-Stat/MDRでワイヤレスデータサービスを担当する上席アナリスト、ケン・ハイヤーズ氏は、「従来のPDAは、子供にあげてしまうような極めてローエンドの製品となるだろう」と言う。「もしくは、メモを取るためのメモ用紙代わりとして(1つ)キープしておくのもいいだろう。ただ、こうしたデバイスのほとんどは、50ドルを切る安価な製品になるだろう」と同氏は言い添えた。

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