図鑑に載ってない虫「この仕事、降りてもいいですか?」Mobile&Movie 第269回

» 2007年07月27日 23時17分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名図鑑に載ってない虫
監督三木聡
制作年・製作国2007年日本作品


 今回ご紹介する作品は、テレビドラマ『時効警察』でコアなファンを獲得した三木聡監督の『図鑑に載ってない虫』。時効警察と同様、本作品でも小ネタが満載。アクの強い個性的なキャラクターが多数登場します。死後の世界を取材することになったルポライターの主人公は、仕事が難航。編集長からケータイに催促の電話がかかってきます。

 ルポライターの“俺”(伊勢谷友介)は、雑誌『月刊黒い本』の編集長(水野美紀)に呼び出され、“死後の世界”の特集記事を書くように依頼されます。取材費用の前払いとして現金を手渡され、うっかり引き受けてしまう俺。編集長は臨死体験をするためには、“死にモドキ”を探すことが必要だといい、まずはその謎を解くことから始めます。

 一回死んで生き返るというきわどいテーマに萎縮した俺は、友人のエンドー(松尾スズキ)も巻き込んで、“死にモドキ”探しの旅に出かけます。まず、訪れたのは、俺の前に“死にモドキ”を探していたというカメラマンの真島のアパート。真島は“死にモドキ”を探してから行方不明になったといわれており、俺とエンドーはこっそり部屋に入り込んでしまいます。

 室内は主人の長期不在を示すように荒れていて、その中で“死にモドキ”に繋がるものを探す2人。カメラを発見した俺に対して、エンドーは五千円札を見つけ、こっそりポケットにねじこみます。しかし、俺に咎められたエンドーが五千円札を差し出すと、そこにはなぜか携帯電話の番号が書かれていました。

 一通り物色した後、真島の部屋を出た俺とエンドーの前に、突然チンピラが絡んできます。真島を探しているらしく、脅されて逃げ出す2人。“死後の世界”を目指す旅がどうやらかなりヤバイ仕事だとあらためて確信する俺。チンピラを巻いた後で

 「この仕事、降りていいですか?」

 と俺は編集長に頼みますが、もちろん却下。取材費は渡してあるので、必ず締め切りを守って原稿を書くようにと逆にすごまれてしまいます。しかたなく“死にモドキ”を探し続けることにする俺。真島の部屋にあった手がかりを追っていくうちに、リストカットマニアのサヨコ(菊地凛子)と出会い、道中を共にすることに。さらに、チンピラの一味だった“目玉のおっちゃん”(岩松了)や、その子分のチョロリ(ふせえり)も仲間に加わり、“死にモドキ”を探すは賑やかになります。しかし、肝心の“死にモドキ”の情報は集まらず、編集長からの催促の電話が俺の携帯を鳴らします。

 やがて、真島の足取りを追ううちに、“死にモドキ”がある団体と繋がりがあることを俺は突き止めます。“死にモドキ”とは一体何なのか? 五千円札に書かれていた携帯電話の相手とは? そして俺は臨死体験できるのか? 三木聡ワールドは、ゆるい空気の中でクライマックスを迎えます。

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