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「また見つかった」「何が?」──そんな2006年だったかな(2/3 ページ)

» 2006年12月27日 15時51分 公開
[ITmedia]

 任天堂の「ニンテンドーDS」は国内販売だけで1000万台を突破し、本年度は1700万台の販売を予想。DS Liteはいまだに品不足という大ヒット商品になり、都内の電車内では会社員風の男女がせっせとタッチペンを動かす風景が普通になった。

 一方、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション・ポータブル」(PSP)は今年度の世界出荷台数見込みを900万台に下方修正。ソフト不足は否めず、なんとなくギャルゲー(PC移植の)が目立ってしまう現状に「サターン?」と心配する声も。そして満2歳の誕生日にあたる12月12日には、「ドラゴンクエストIX」がDSソフトとして発売されることが発表されたのだった。

 注目の据え置き型は11月にPS3、12月に「Wii」が発売。PS3は極端な品不足に陥り、発売日の量販店では阿鼻叫喚のレベル地獄が繰り広げられた。転売ヤーは2ちゃんねらーの標的になり、Yahoo!オークションで祭られてしまう人もいた。

 一方のWiiはPS3の教訓もあり、発売日は比較的スムーズに推移した。だがリモコンのストラップが切れてしまうとの報告が日米で相次ぎ、一部を無償交換する事態になった。

 この年末「なかなか買えない」と言われているPS3とWiiだが、PS3は既に店頭やネットで比較的容易に買えそうな雰囲気にはなってきている。ソニーの中鉢良治社長は「年内200万台の出荷目標は変えない」と明言。ハイスペックが詰まったPS3の真価は、薄型テレビのHD化が本格化するこれからになりそう。Wiiも、リモコンというユニークなインタフェースの潜在力を存分にいかせるソフトの登場は来年以降になりそうだ。

 Xbox 360は「ブルードラゴン」などの国産ソフト投入作戦が受け、ユーザーは地道に増えているようだ。何しろ来年1月25日には、キラーソフト「アイドルマスター」発売が待っている……。

mixiが「普通の人」に普及 SNSブーム

 現実の人間関係をネット上に持ち込む――2004年ごろから盛り上がり始め、ネット界では2005年にブレイクしたSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が、今年一気に一般化した。最大手の「mixi」は主婦やOL、学生などに広く使われ、“普通の人たち”の会話に頻繁に出てくるようになった。登録ユーザー数は660万人を超えている。

画像 上場会見にはテレビ、新聞など多くの報道陣が詰めかけた。上場後にもさまざまなメディアで立て続けに取り上げられ、笠原健治社長は一躍“時の人”となった

 運営元は「ミクシィ」に社名変更し、9月に東証マザーズに上場した。初日は買いが殺到して取引が成立せず、2日目に公開価格1.9倍となる295万円の初値を付け、ネット関連企業として久々に市場をわかせた。同社の9月中間期の売上高営業利益率は5割近く。「ビジネスモデルが見えない」と言われてきたSNSだが、圧倒的ナンバーワンにはユーザーも広告収入も集まることをmixiが証明した。ただ調達した60億円もの資金の使い道は見えてこない。

 SNSの問題点も見えてきた。mixiにハマりすぎて疲れてしまう人も続出。根拠の薄い情報が猛スピードで広まり、ユーザーが惑わされる事態も相次いだ。mixi日記で不適切な言動をして“炎上”したり、Winnyを通じた情報流出に絡み、流出元のユーザーの個人情報がmixiから割れた事件も世間を騒がせた。

 mixiはネットの“作法”に慣れていない一般ユーザーを大量に取り込んだため、ネットに慣れたユーザーからすれば思いがけないようなトラブルが続いた。運営側の対応も後手後手に回っていたが、上場後に「mixi使用上の注意」を公開するなど、重い腰を上げ始めた。

 SNSの新規参入も相次いだ。世界最大・1億2500万人が利用するSNS「MySpace」はソフトバンクと手を組んで日本に上陸。音楽を柱にサービスを始めたが、評判はあまり聞こえてこない。SNSはネットワーク経済性が働くサービス。mixiという圧倒的ナンバーワンを前に新規参入組が苦戦を強いられるという構造は昨年から変わっておらず、3月にオープンしたヤフーのSNSも伸び悩んでいるようだ。

 一方、mixiの支配が及んでいないのが、10代を主なターゲットにした携帯SNSだ。2月にオープンしたゲーム&SNSの「モバゲータウン」は、開始から9カ月で200万ユーザーを突破。無料ゲームの魅力をドライビングフォースにして快調に伸びている。mixiに次ぐ2番手に甘んじてきたグリー(GREE)はKDDIと提携し、モバゲーに似た仕組みの携帯向けSNS「EZ GREE」をスタート。オープンから1週間で10万人以上の会員を獲得した。mixiも12月に、携帯だけからの利用を解禁3日で10万ユーザー以上を集め、ナンバーワンSNSの力を見せつけた。

 「流行していて、もうかるといううわさのSNSを、当社もとりあえず作ってみよう」――mixiの上場後はそんな動きが強まり、「SNSを開設しました」というリリースが毎日のように届いた。専門分野に特化したSNSのほか、地方新聞社などによる地域SNS、ユーザーが自由にSNSを作れるASPサービスなどさまざまな形が登場したが、これだけ乱立してしまうとユーザーを集めるのは至難のはず。今後バッタバッタと倒れていくことになるのだろう。

 来年は、利用の伸びが鈍ってきたmixiが、さらなる成長に向けてどんな手を打ってくるか、また、mixiに対抗できるような新サービスが現れるかどうかに注目したい。携帯向けSNSでも新規参入が続きそうで、モバゲータウンやEZ GREEの動向も見逃せない。

YouTubeの1年だった

 昨年は「Googleの1年だった」が、今年はそのGoogleに買収されたYouTubeの1年だった。昨年2月に米国でスタートしたYouTubeは、昨年12月ごろから日本からの訪問が急増し、3月には日本から200万人以上が利用。「極楽とんぼ」の加藤さんが相方の不祥事について謝罪した動画は300万回以上再生され、「YouTubeはこれほどたくさんの人が見ていたのか」と驚かされるとともに、「これほどたくさんの人が極楽とんぼを気にしていたのか」ということにもっと驚かされた。

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