「ハトが選んだ生命保険に入る」という記事もその1つで、「@nifty 保険アドバイザー」へのアクセス誘導企画だ。多摩川の河原でハトをおびき寄せ、「1000万円」「2000万円」「3000万円」と書いた紙皿に入った豆のうち、ハトが最初に食いついた皿の保険に林さんが自ら入るという、保険の中身とは何の関係もない面白企画だが、記事から10件以上、保険の申し込みがあったという。「あれを見て、なんで保険入るんだろう」と記事を書いた林さんも不思議そうだ。
「@niftyストア」のWindows 7予約受け付け開始に合わせ、販促企画も掲載した。Windows 7のパッケージの箱(実際には、同じ形のVistaの箱)を船に改造し、海に浮かべるという内容で、サイトから予約した人には「Zくん」が運動をしている「ウンドウズ7」や、ウィンナーのイラストを並べた「ウィンナーズ7」の壁紙をプレゼントするという、より“タイアップっぽい”内容になっている。
タイアップ記事は、「最初はやだなぁと思ったんですけど、やってみると意外に面白い。と言っちゃうのも負けた感じがするんですけど……」と、林さんは複雑な心境を吐露する。気の合うライターだけで書いていたこれまでの記事と違って、外部の視点が入ることで緊張感が生まれ、その分、面白くしやすくなった面もあるという。
DPZはオープンからずっと、誰でも分かる「優しい」サイトを目指してきた。「ネット上のコミュニティーはルールやマナー、専門用語が多くて初めての人は取っつきにくいと思う。音楽など趣味の話も、絶対に自分より詳しいマニアがいて、うっかり発言するとバカにされるんじゃないかみたいな恐さがある。だからDPZは狭い話はしないで、専門用語も使わないようにしようと」
友の会やタイアップ記事の方向性は、そのポリシーにやや反する。「友の会の議事録は内輪受けだし、タイアップ記事もDPZの読者だから面白い内容になりがちで、検索で偶然記事を見付けた人でも面白いと思えるだろうかという不安がある。DPZを知っている人に甘えた記事になってしまうのでは、と。資産の食いつぶしにならないといいのですが……」
今後DPZは、「もうちょっと読者参加のサイトにしたい」という。「僕はDPZをやってると面白いから、みんなもやってみれば面白いに違いないと思って。みんながもっと体験できるようにしたい」
シルバーウィーク企画として公開した「@nifty!たぶん袋」はそんな企画の1つ。投稿された質問に対して、うろ覚えや推測で「たぶん……」と回答するQ&Aサイトだ。
「『たぶん』でしか答えちゃいけないというルールを決めると、『何かやりたいけどバカにされたら嫌だ』という雰囲気を超えられる」――変わったルールを1つ決めると、自由度は低下するが参加しやすくなる。林さんがDPZや個人サイト「やぎの目」の投稿企画で培ってきた手法で、読者が気になる場所をほかの読者に見に行ってもらう「ちょっと見てきて」や、「死ぬかと思った」で締める低レベルな臨死体験投稿企画「死ぬかと思った」もそういった企画の1つだ。
「ルールを決めてひな形は作っておくので、読者には、一番面白いとこだけやってもらえるようなものにしたい。芋が埋めてあって、掘ればいいだけの芋掘りとか、プリクラで、顔をかわいく写せるやつみたいに」
「ブログを書いたりしていられない忙しい人でも、ちょっとだけ面白いものを作れるような、『こいつ、つまんねー!』とか言われない、恐くない、優しい感じのものを作りたい。カラオケぐらい、誰でも参加できる、分かりやすくて面白いものが作れたらいいですよね」
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