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» 2009年12月11日 11時16分 UPDATE

Larrabee計画中止で盛り上がる「IntelがNVIDIA買収」説

Intelが「Larrabee」を中止すると発表したことで、同社がGPU参入のためNVIDIAを買収するのではないかとの憶測が流れている。一方では、そうした憶測を「世間知らず」と否定する意見も。

[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 Intelが第1世代の「Larrabee」GPUを断念したことで、同社がGPUでの戦いに戻るためにライバルのNVIDIAを買収するのかどうかをめぐる議論が起きている。

 Intel関係者は12月4日に、開発の問題から、同社初のGPGPU(汎用GPU)計画を中止すると発表した。このプロセッサは2007年に初めて明らかにされ、数度延期されたものの、2010年初めに登場する予定だった。

 Larrabeeは9月のIntel Developer Forum(IDF)でデモが行われ、11月のSupercomputer 2009でも披露された。この製品はAMDやNVIDIAの製品に対抗するものとなるはずだった。

 ブロガーのロバート・クリングリー氏は12月8日のエントリで、IntelはLarrabeeを中止したことで、NVIDIAを買収するほかなくなったと述べている。AMDが計画しているCPU-GPU「Fusion」に独自製品で対抗できないため、Intelはグラフィックスチップ分野に進出し、HPC(高性能コンピューティング)分野で勢力を拡大する手段として、NVIDIAに目を向けるだろうと同氏は指摘している。

 「今まさに、IntelとNVIDIAがファンキーなダンスを踊っている。両社が何を言おうと、最終的にNVIDIAはIntelに買収されると断言したい。両社ともそのことを分かっており、決まっていないのは金額だけだ。この駆け引きはすべて金額をめぐってのものだ」(同氏)

 Intelは、AMDが2006年にGPUメーカーのATIを54億ドルで買収した直後にLarrabeeへの取り組みを始めたと同氏は説明している。Larrabeeを断念したことで、Intelは難しい開発プロジェクトから脱するだけでなく、NVIDIA買収への障壁も取り除くことになる。IntelがGPU事業を抱えたままNVIDIAを買収したら、規制当局の独禁法違反の懸念は拡大するだろう。

 「Larrabeeを抱えたままなら、Intelは主要なライバルをつぶそうとしていると思われるだろう。Larrabeeがなければ、単に新市場への参入を図っているだけということになる」(クリングリー氏)

 Intelはまた、NVIDIAのモバイルプロセッサ「Tegra AXP」にも関心を引かれているという。クリングリー氏によれば、TegraはIntelの「ポストAtomの省電力プロセッサMoorestown」より優れているという。

 「Intelは、AMDがATIを買収したときに何かしなければならなかった」と同氏。「Larrabeeを断念した今、Intelが競争を続けるために取れる現実的な選択肢は、ほかの企業の買収しかない。その目的にかなう企業はNVIDIAだけだ」

 すべての人がこの説を支持しているわけではない。Jon Peddie Researchのジョン・ペディー氏は9日のブログエントリで、IntelがNVIDIAを買収するという見方は「世間知らずな憶測」だとし、IntelはNVIDIAが必要だとは感じていないと主張している。

 「IntelはImagination Technologies、そして自社の研究部門から、必要なグラフィックス関連の知的財産をすべて得ている。IntelはGPUを開発できないのではなく、今現在のGPUアーキテクチャに長期的な持続性がないと考えている。同社は、今のアーキテクチャは拡張できないと思っている。MIMD(Multiple Instruction stream, Multiple Data stream)ができないのは確かだ。Intelにとってはデッドエンドだ。投資する理由があるだろうか? もう一度言わねばならないが、これは両社の基本的な哲学における決定的な違いだからだ。ここ1週間で起きたことは、ハードの設計とはまったく関係がない。確かにGPUの設計は難しい。CPUもそうだ。数十億のトランジスタもだ。Intelは単に、従来のSIMD(Single Instruction, Multiple Data)GPUアーキテクチャに将来性があると思っていないだけだ。正しいかどうかはともかく、同社は分析の結果その結論に至った。どんなに騒いでも、Intelはこの件については心変わりしないだろう」(ペディー氏)

 Larrabeeは死んでしまうわけではないと同氏は語る。Intelはx86アーキテクチャベースのGPU技術開発への投資を続ける。このような見解は、Intelの発表後、ほかのアナリストも示している。同氏は、いずれはLarrabeeプロセッサファミリーが登場すると予測している。

 IntelとNVIDIAの対立の歴史からも、両社の合併は想像しがたい。

 「IntelとNVIDIAの文化の違い、とげとげしい関係、紛争は非常に深まっているため、流血沙汰なしで両社を統合するのは不可能だろう」とペディー氏は述べている。「Intelにどれだけの資金力があろうと、両社が金額で合意することはあり得そうにない。NVIDIA(の取締役)とその株主はIntelによる友好的買収を絶対に認めないだろう。そしてNVIDIAには、どんな敵対的買収でも1年以上遅らせる複数回投票のテクニックがある」

 同氏はまた、IntelのNVIDIA買収をめぐる憶測を厳しく批判している。

 「コンピュータ業界をチェス盤のように見て、『白がビショップを取れば黒がクイーンを取る』と言うのは世間知らずというものだ。業界はそんなふうには動かないし、これまでそうなったこともない」と同氏。「PC業界はスポーツではない。業界を予想するなら、その機構部分、関係者の経歴、業界内の技術をもっと理解する必要がある」

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